仮面ライダーBLACK RXとは？
仮面ライダーBLACK RX（かめんらいだーぶらっくあーるえっくす）とは、1988年（昭和63年）に放送を開始した仮面ライダー作品シリーズの第10作。第9作「仮面ライダーBLACK」の続編にあたり、シリーズで唯一、2年連続同じ主人公が登場する。前作のハードで孤独な戦いから一転、明朗快活な主人公が仲間たちの協力を得ながら悪を倒す新展開では、シリーズ初のフォームチェンジや、剣をメインの武器とするなど、平成の仮面ライダーにつながる要素が多数見られ、本作の放送期間中に時代は平成となったが「最後の昭和ライダー」として表現されることが多い。
作品名：仮面ライダーBLACK RX
放送開始：1988年10月23日～1989年9月24日（全47話）
原作：石ノ森章太郎
脚本：江連卓 ほか
監督：小林義明 ほか
出演：倉田てつを、高野槇じゅん、赤塚真人、鶴間エリ、小山力也、高畑淳子、松井哲也
声の出演：加藤精三、飯塚昭三、柴田秀勝、納谷悟朗
ナレーター：政宗一成
主題歌／テーマ曲／挿入歌：
オープニングテーマ（op）：「仮面ライダーBLACK RX」歌：宮内タカユキ（歌詞）
エンディングテーマ（ed）：「誰かが君を愛してる」歌：宮内タカユキ（歌詞）
挿入歌：「運命の戦士」歌：宮内タカユキ（歌詞）、「戦場のライダーRX」歌：宮内タカユキ（歌詞）、「黒い勇者」歌：倉田てつを、「すべては君を愛するために」歌：宮内タカユキ（歌詞）、「光の戦士」歌：宮内タカユキ（歌詞）、「激進RX」歌：宮内タカユキ（歌詞）、「バトルoh! RX」歌：宮内タカユキ（歌詞）、「永遠のために君のために」歌：水木一郎（歌詞）
作品概要・あらすじ
光の超パワーを得て、南光太郎が再び、悪と戦う
豊かな森林風景を飛行する、1機のヘリコプター。操縦桿を握るのは主人公の南光太郎（演：倉田てつを）。「平和っていいなあと思ってさ」と、同乗するガールフレンドのフリーカメラマン・白鳥玲子（演：高野槙じゅん）に語りかける。
光太郎は暗黒結社ゴルゴムの壊滅後、叔父の佐原俊吉（演：赤塚真人）のもとに身を寄せ、彼の経営する佐原航空でヘリコプターのパイロットとなり、充実した日々を送っていた。このまま人生を全うしたいと望む光太郎だったが、新たな敵が立ちはだかる。異次元空間である怪魔界から、クライシス帝国が地球征服を目論んで現れたのだ。
周囲で起こる怪異現象に果敢に立ち向かった光太郎は、敵のクライシス軍最高司令官ジャーク将軍より仲間となることを求められるが、拒絶したことで仮面ライダーBLACKへの変身機能を破壊され、宇宙空間に放り出されてしまう。
その時、奇跡が起こった。光太郎の体内にあるキングストーンが太陽の光＝神秘な生命のエネルギーを吸収し、進化を遂げた仮面ライダーBLACK RXが誕生。こうして光太郎は再び悪との戦いに呼び戻され、クライシス帝国との戦いの火蓋が切って落とされた。
哀しみを背負ったロボライダー、怒りが呼び覚ましたバイオライダー
地球侵略の足がかりとして日本を支配しようとするクライシス帝国。ジャーク将軍配下の4大部隊から、怪魔獣人、怪魔ロボット、怪魔妖族、怪魔異生獣らの怪人たちが次々と送り込まれる。
光の超パワーを全開にして対抗し、光の剣・リボルケインで撃破していく仮面ライダー BLACK RXは、戦いのさなかで2つの新たな変身能力を身につける。佐原俊吉の娘・ひとみの死（のちに生存が確認される）により、深い哀しみの感情に打ちひしがれたとき哀しみの王子・ロボライダーが誕生。そして卑劣な罠にはまり、危機に瀕したRXの強い怒りの感情によって怒りの王子・バイオライダーが誕生。光太郎は仮面ライダーBLACK RX、ロボライダー、バイオライダーと、異なる3つの能力を有する仮面ライダーに。
明るく笑いの絶えない佐原一家やキュートな玲子に囲まれ、光太郎を兄貴と慕う霞のジョー（演：小山力也）や、両親をクライシス帝国に殺された的場響子（演：上野めぐみ）らの協力を得ながら、変身能力を使い分けて強大な敵に立ち向かう。
そしてクライシス帝国との全面対決には、北米・アメリカで特訓を積んだ歴代10人のライダーが集結する。
みどころ
光・哀しみ・怒り、フォームチェンジで異なる能力を使い分け
体内に宿るキングストーンに宇宙の生命エネルギーである太陽の光が照射され、進化した仮面ライダーBLACK RX（別名：太陽の子、光の王子）。超強化皮膚であるRXフォームに覆われた全身は強固な防御力を誇り、体内に蓄積したハイブリッドエネルギーを発動することで圧倒的な戦闘力を発揮する。光り輝く必殺の剣・リボルケインで敵を粉砕する戦闘シーンは迫力たっぷりだ。
深い哀しみの感情がキングストーンに作用し、さらに進化を遂げたのがロボライダー（別名：哀しみの王子）。仮面ライダー BLACKRXの1.2倍のパンチ力・キック力を持ち、光を結集させたレーザー銃・ボルティックシューターで敵を撃ち抜く。
そして、クライシス帝国への怒りが頂点に達し、キングストーンのパワーで進化したのがバイオライダー（別名：怒りの王子）。バイオフォームで形成された体細胞組織はゲル状や液体状に変化可能。あらゆる場所に潜入できるだけでなく、容易に敵の拘束から逃れることもでき、敵からの毒素を受け止め、体内で抗体を生み出すこともできる。
3種の能力を的確に使い分けながら、主人公がクライシス帝国からの怪人たちを打ち破っていくめまぐるしい展開は圧巻だ。
仮面ライダーBLACK RXの変身シーン
一挙手一投足に力がみなぎるのがRXの変身ポーズの特徴。右拳を握って腰だめに添え、左手も拳を握りガッツポーズのようにして静止し、「変身！」とシャウト。右手を天に突き上げるとともに、左手を開いて腹部に当て、突き上げた右手を胸元まで下ろしたら、右手と左手を手刀を切るように大きく左右に振りかぶる。
すると光太郎の右目の瞳の中で青白い火花がスパークし、変身ベルト「サンライザー」が発光して仮面ライダーBLACK RXへと変身する。変身後に見得を切るのもRXの特徴。左右の手をシャープに振ってポーズを取りながら、「俺は太陽の子、仮面ライダーBLACK! Ｒ! Ｘ!」のセリフで決めるところで変身完了となる。
地球に50億人の移住を目論む「クライシス帝国」とは
地球の影の存在する異次元世界・怪魔界に生まれた帝国。そもそもは木々が生い茂り、豊かな緑があふれる場所だったが、1000年前のクライシス皇帝による支配以降、環境破壊が急速に進み、滅亡へのカウントダウンが始まった。
全人口50億人の地球への移住を目論み、地球を侵略する地球攻撃兵団のリーダーとして、クライシス皇帝より使わされたのがジャーク将軍。移動司令基地・クライス要塞より、人類の抹殺を図る。
地球征服に飽き足らず、移住後のクライシス人が住みやすい社会とすべく、クライシス人のライフスタイルに合わない要素を排除し、水の確保や食料工場の建設なども作戦に盛り込む知能犯ぶり。クライシス帝国大学で物理学の教鞭を執りながら、皇帝の逆鱗に触れて地方に左遷され、RXに重要な設計図を託すワールド博士や、怪魔界にいながら反クライシスの旗印を掲げるゲリラ部隊、政府首脳との極秘会談も行うなど、敵ながら多様な社会を形成する知的能力もみどころのひとつだ。
個性と知性がぶつかりあう敵幹部たち
ジャーク将軍のもと、作戦を決行するのは4人の大隊長。ナイトの称号を持ち、プライドの高い怪魔獣人・海兵隊長ボスガンに、貴族出身で妖魔力を操る怪魔妖族・諜報参謀マリバロン（演：高畑淳子）、暗くて寒い怪魔界の地方出身者である怪魔異生獣・牙隊長ゲドリアン、要塞内のメカ管理し自らロボットも製作するニヒルな怪魔ロボット・機甲隊長ガテゾーン……個性あふれる4人がときにぶつかり合いながら、RXを退けるべく、それぞれの配下の独自の怪人たちを派遣して作戦を遂行していく。
中盤には、遅々として進まない地球侵略を監視するためにクライシス皇帝から直接送り込まれた重要人物・クライシス帝国査察官のダスマダー大佐（演：松井哲也）が登場。大隊を率いる4人同様、ジャーク将軍も監視対象とし、地球侵略のためには手段を選ばず、ときには同胞の妨害をすることもいとわない。
宿敵・シャドームーンとの因縁の戦いの行方は？
前作「仮面ライダーBLACK」で、もう一人の世紀王として覇権を争った宿敵・シャドームーンも本作に再登場。光太郎にとって彼は、5万年におよぶ宿命を負ったライバルであり、それ以前に兄弟同然に育った唯一無二の親友だった。
だが、今の彼を突き動かす動機は「仮面ライダーBLACKを倒す」こと。クライシス帝国の野望にはまったく興味を示すことなく、ジャーク将軍と手を結び、RXの打倒を目指すシャドームーン。シャドービームで最強のバイオライダーにダメージを与え、シャドーソードの二刀流でRXに深手を負わせてかつての親友を追い詰めていく。
4つの大隊長が送り込む4タイプの怪人たち
海兵隊長ボスガンが送り込むのは、優れた能力を持つクライシス人に改造手術で動植物の機能を与えた怪魔獣人。諜報参謀マリバロンの配下は、妖魔力を駆使して地球人を操る怪魔妖族。牙隊長ゲドリアンが率いるのは、怪魔界の生物を強化改造した怪魔異生獣。機甲隊長ガテゾーンがつくりだすのは、メタリックなボディに強力な兵器を搭載した怪魔ロボット。
正統派のライダー怪人風の獣人、魔族、もはや怪獣のようなフォルムの異生獣、メカメカしいロボットなどなど、バラエティに富んだ能力とデザインのクライシス怪人たちは、個性だけでなくRXとのアクションでも楽しませてくれる。
名セリフ・決めゼリフ
俺は太陽の子！ この世の生ける者すべてを守る！仮面ライダーBLACK RX!
（第2話・南光太郎）
そのとき、不思議なことが起こった
（第15話 ほか・ナレーション）
我が名はシャドームーン、いずれ再びよみがえり仮面ライダーBLACK RX、おまえに勝負を挑む。誰にもおまえに首は渡さん！
（第27話・シャドームーン）
光太郎さん、やっぱり、あなたRXだったのね！
（第29話：白鳥玲子）
たとえ何があろうと子供たちの夢を守り、希望の光を照らし続ける。それがヒーローの務め、そう思います
（第36話・仮面ライダーBLACK RX）
たとえすべてのエネルギーを失っても、キングストーンがある限り、俺はよみがえる！ 何度でも！
（第40話・仮面ライダーBLACK RX）
何もいらないよ。私はおまえと、ママや茂、それにひとみ、みんなで一緒に暮らせれば何もいらないよ
（第44話・佐原俊吉）
必殺技・必殺武器
RXキック、RXパンチなど、仮面ライダーBLACKよりもパワーアップした格闘技をつかえるが、剣や銃などの光の武器を中心に敵を撃破する。
必殺武器・リボルケイン
変身ベルト・サンライザーで太陽光の粒子を凝縮して生じる光の武器。サンライザーから垂直に引き抜く。
必殺武器・バイオブレード
RXがバイオライダーになった際には、サンライザーから光の剣・バイオブレードが出現。サンライザーから引き抜くのではなく、ベルトに沿って現れる。 “突く”リボルケインに対し、バイオブレードは“切る”アクションが中心となる。
リボルクラッシュ
敵の体に光エネルギーをチャージしたリボルケインを突き刺し、体内から破壊する必殺技。突き刺した切っ先からは火花が生じ、引き抜いた後に背を向けてリボルケインを振って型を決めれば敵は爆発四散する。
スパークカッター
バイオブレードで、敵を切り裂く技。おもに下部から一気に刀を縦方向に切り上げる。連続で繰り出すことも可能。
必殺武器・ボルティックシューター
ロボライダー時、両手を胸元で合わせて開き、右手をベルトの右脇に下ろすことで出現する光線銃。射程距離は無限。
ハードショット
ボルティックシューターで敵を撃ち抜く技。
FAQ・トリビア
仮面ライダーBLACK RXの由来、能力は？
前作「仮面ライダーBLACK」で、左胸にあったゴルゴムの文様が進化によって「RX」と読めるかたちになったのが名前の由来。仮面ライダーBLACKはキングストーンからエネルギーを得ていたが、仮面ライダーBLACK RXは太陽光を取り込んでハイブリッドエネルギーに変換するサンバスクを腹部に備え、キングストーンと太陽光のハイブリッドエネルギーで活動することができる。仮にサンバスクを破壊されてもキングストーンによって再生することができる。
仮面ライダーBLACK RXの専用バイク・アクロバッター
元はゴルゴムとの激闘で大破し、野に晒されていたバトルホッパー。光太郎がクライシス帝国により、宇宙空間に投げ出されて太陽の光を浴びた際、ベルトのサンライザーから照射された太陽エネルギーを浴びて再生・進化した専用バイク。
最高速度は750kmだが、RXがロボライダーに変身した際はロボイザーという別形態に変わり、800kmをたたき出し、後部からバルカン砲を発射できるようになる。また、バイオライダー時にはマックジャバーとして水上・水中走行も可能に。単なるバイクではなく、感情を持ってRXを支援する頼もしい仲間なのだ。
シリーズ初の仮面ライダー専用車両・ライドロン
クライシス帝国に反旗を翻す物理学者・ワールド博士の設計図をもとに光太郎が作り出したのが、仮面ライダーシリーズ初の4輪車両・ライドロン。最高速度は1500km。水上、水中でも活動でき、怪魔界にも突入。超高速走行で敵に体当たりするライディングアローという技を繰り出すほか、車体前部に備えた特殊金属製のグランチャーで敵を挟むこともできる。
ライドロンもまた自身の感情を持ち、RXと意思疎通しながら行動することができる。
仮面ライダーBLACK RX (21st century version)
宮内タカユキのセルフカバーアルバム「メモリアル・ソルジャー」に収録された主題歌の新バージョン。よりクリアでよりドラマティックなアレンジの音源にラストの「RX!」のシャウトがアツい。
仮面ライダー BLACK RXに関連する映画・劇場版作品
「仮面ライダー世界に駆ける」（1989年制作）
「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」（2009年制作）
ほか
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