第48話
黄昏にさよならを

ガッチャード47話、ご視聴ありがとうございました！
というか……
いやぁ、熱い！！！

これが見たかった！！！
宝太郎とスパナ男同士、魂の大ゲンカ！！！！

この展開をやろうと思った意図は大きく３つ。

①まず大前提として最終章ではこの番組のベースにある宝太郎の夢「人とケミーの共存」について改めて宝太郎に考えさせたかったこと。そしてその結論の出し方は戦い（行動）によって答えを見つけていってほしかったこと

②その戦いには「人々とケミーを守るため」という大義名分ではなく、宝太郎自身の意志・ワガママとして向かっていって欲しかったこと

③そして、いつもいつも宝太郎の前でカッコつけて、我慢して、大人ぶってるスパナの本音を引き出したかったこと


元々、スパナという男は最初から「宝太郎のカウンター」として配置されたキャラクターでした。
いわゆるライバル。シゲ◯くん、ベ◯ータ、サス◯ェ……などなど参考キャラ枚挙にいとまがないほど。
主人公の先を行っている男、でもやがて追いつかれ、互いに切磋琢磨する関係になる男。的なヤツですね。

でも物語を進めるうち、我々企画者の意図を超えて、スパナにはいわゆるライバルという枠を超えた個性が備わっていきました。
それが「大人ぶってる子供がいつの間にかその役割が板に付いてしまい、そのまま頼れる大人になってしまった男」（という風に私は感じてました）

大人と子供の中間というか。
背伸びしているというか。
宝太郎たちから見たら頼りになるお兄ちゃんだし、ミナトから見たら、頼れる後輩なのですが、でもそんなスパナだからこそ、いつもいつも本音を言い出せずにいたんじゃないかという気がします。

憎き両親の仇・グリオンに相対するときも倒せる力を手にした宝太郎に託すし、
カグヤが時空を超えてやってきたときも二人の関係を見抜き、そっと送り出すし、
ホッパー１がマルガムになったときなどは傷ついた身体にも関わらず、憎まれ役を買って宝太郎の代わりに始末を付けようとするなど…

そんな、これまで溜まりに溜まっていた宝太郎への感情をスパナにはここで全て吐き出して欲しかったのです。
そうしてお互いに吐き出せる言葉を吐き出し尽くした後で拳と拳で打つかり合うからこそ、お互いに次のステップへと進むことが出来るんじゃないかと思ったのです。


闇落ちでもなく、
ライダーバトルでもなく、
なんなら正義と正義のぶつかり合いですら二人にとってはきっかけに過ぎず、
ただただ互いの本音をさらけ出す、
子ども同士のケンカ。

互いの成長のためには絶対にそのステップが必要だと思いました。


とは言え、ヒーロー同士が戦う展開は時として、番組の骨子たるヒーロー性を損なう危険性もある難しい展開。
そこで、鳴りを潜めていた冥黒王ガエリヤさんにお出ましいただき、こんなめんどくさい策略で宝太郎とスパナの対立を煽っていただきました。


ガエリヤの悪辣さは、ジェルマン、ギギスト、グリオンとは別の形で描きたかったので、結果的には良い差別化ができたかなと思います。

さて、そんなガエリヤさん。
ガッチャードとヴァルバラドを戦わせ力を削ぐ一方で、抜かり無くマジェードにも無力化の手を打っていたようですが、果たして。


ということで、皆さん大変長らくお待たせしました。
最終回まで残り３話のこのタイミングでマジェードの強化フォームが誕生します！！！

待った？待ちましたよね？笑

このあたりのタイミングに関するプロデュースの狙いはまた来週ご説明するとして、まずは九堂りんねとアトロポス。
宝太郎＆スパナ以上に、強い結びつきで因縁を重ねてきた二人の邂逅にご注目ください。


ちなみに、台本、オールラッシュ、初号試写、全てのタイミングで私は泣きました笑
恐るべし井上亜樹子先生。
今回初の３話連続登板となったのですが、筆の鋭さは衰えるどころか、さらにマシマシです！
そしてメガホンを取るのは、現在大ヒット公開中の映画「仮面ライダーガッチャード　ザ・フューチャー・デイブレイク」の田﨑竜太監督。

ということで、ここからは怒涛の最終３部作。
先に告知しちゃいます！！

第48話　脚本：井上亜樹子　監督：田﨑竜太
第49話　脚本：長谷川圭一　監督：田﨑竜太
最終話　脚本：内田裕基　　監督：田﨑竜太

という布陣でお送り致します！！！


「作品」としてではなく、
毎週見る「番組」として、
『仮面ライダーガッチャード』は全戦力を総動員して田﨑監督とともに最後まで走り抜けます！！

この物語が、皆さんにとっての"ガッチャ"になれるよう、スタッフ一同最後まで燃料満タンで最終の列車が出発致します。
お乗り遅れのないようご注意ください！！！！

（文責：湊 陽祐）

前回のHPで、湊Pからもサブタイトルはあえてそのまま直球に！と言及がありましたが、


宝太郎とスパナ、2人の戦いは、本当にまっすぐで、
飾るような言葉はつけられませんでした


それもそのはず、
2人のバトルシーンは、ほとんど劇伴をつけないで
台詞と戦いの音だけ！

山口監督が、まさに2人の「そのまま」を映し出しました。
ど直球な演出、すごすぎる！！！




これまでずっと、ケミーへの考え方をめぐって対立してきた2人。

それでも、これまで何やかんや色々な事があって
助け合い、お互いを認め合いはじめていた2人。

しかし、人とケミーは共生できるのか？という最後のテーマに取りかかるにあたって、
ここの対立をなあなあにしてはいけないと、
47話にしてライダー2人の真剣勝負を描く事になりました。



監督をつとめていただいた、
我らがセカンドパイロットの
山口監督。

2人がはじめてぶつかった、第3話を担当してくださったのも、まさに山口監督！！

あの時は、
ケミーは道具だというスパナと、
ケミーには心があると反発する宝太郎の対立。


仮面ライダーとして経験を積んだ今も、
2人の根本が変わることはありませんでした。


むしろ今、
2人の違いをあらためて明白にして、

ここに決着をつけなければ、スパナは前に進めないし、
宝太郎の目指すガッチャも掴めない、
そんな思いで一同熱く作った47話、振り返っていきます！





早速、
ラケシス、スパナを止めてくれえ！！！！
のシーンから。

まさかラケシスにその役割を任せるようになるとは、
ガッチャード初期には考えられませんでした。


しかも、鏡花さんの事をお願いするほど
スパナの信頼する相手になるとは……




そんなラケシスの制止も振り払い、

スパナは、仲間の錬金術師たちの力も借り、　
黒い炎の力でケミーカードを全て奪い取りました。

ちなみにこの錬金術師たちは、
錬金連合から逃げ出さず、
スパナの思いに賛成した勇気ある若き錬金術師たち。

前回、スパナの会見を手伝ったのも彼らです。


中でも、46話でスパナに最後の忠告をする役割も担っていただいたのは、
松田航輝さん。

錬金連合にもまともな大人はまだいたんですね〜！

誠実な若き錬金術師を演じていただきました、
松田さん、ありがとうございました！！




ケミーを奪われるだけでなく、
宝太郎の周りはさらに大変な状況に。


通学路には、またもやケミーを狙う悪人が出現。

もう悪人がわんさか湧きまくり！

こちらの悪人役を演じていただいたのは、
吉田壮辰さんと、國枝新さん！


短い尺ながら、宝太郎たちの日常に、
どんどん悪が入り込んでいく様子をインパクト大に演じていただきました！

ありがとうございました！！




さらに、家の情報までが突き止められ、
キッチンいちのせが大変なことに……

それでも、いつもの配達はやめたくないと、
諦めない姿を見せる珠美。

そんな姿がまた宝太郎の力になっていきます。

南野さんが醸し出してくださる珠美の空気感、安心感は、本当にいつも素晴らしく、

最終章に入りお話が重くなるほど、
キッチンいちのせにいてくれる、そのありがたみを強く感じますね……





そしてここでもう一人の救世主が！！！

か、加治木！！？



……ではなく、
加治木が連れてきてくれた旭さん！！！！！

第5話で登場した、
旭プロレスジムを経営しながら、レスラーGとの絆を結んだ
旭さんがキッチンいちのせに参上！


町田政則さんに再登場していただきました！



ケミーによって人の醜さや悪意が浮き彫りになる様子をこれでもかと見てきましたが、
私たちが見てきたのはそれだけではなかったはず！


旭さんは、まさにケミーと人が共に生きる可能性を
はじめて宝太郎たちに示してくれた人物。


そんなケミー側に立っていた人たちもみんな記憶を取り戻しており、
旭さんは、宝太郎たちの大変な状況を心配して会いにきてくれたのでした。


旭さんは、ケミーだけでなく、
一度タッグパートナーとなった宝太郎にとっても心強い味方です！

自分の命をかけるような決意をしてる相手を説得するにはどうすればいいのか、
相談した宝太郎。


「相手を説得するのは何も言葉だけじゃない」

「お前の夢の砦を守り抜け」


旭さんの言葉に火が付いた宝太郎は、
いざスパナの元へ向かいました。

それにしても、
町田さん演じる旭の言葉は、
熱く説得力があるのに重くなくて、それでいて人を動かすパワーがありますね。


ここで宝太郎の背中を押すケミー側の人間を旭さんに設定したのは正解でしたし、

正解にしてくださった町田さんのお芝居には感謝です！
ありがとうございました！！






ではここから、対決シーンのお話へ。



まず前提として、

ガッチャード(を含め特撮番組では)、

1話の構成として、アクションのまとまりを、ナカタチとラスタチと呼ばれる2つ作るのが基本ですが、



47話はこの対決シーンまで、立ちまわりをつくりませんでした。

つまり、ナカタチ無しで、ラスタチのみ。



それくらい、このラスタチに全てをかけたのが47話。



藤林さん、本島さんはそれも理解したうえで、

魂を込めたお芝居をしてくださいました！

まさか宝太郎からスパナに一発喰らわせるとはね……





「なんでお前はいつもそうなんだよ！

それがかっこいいとでも思ってんのかよ！」



「お前のそういうところが嫌いなんだよ！」





対決のはじまりも、本音のぶつけ合いも、脚本・井上さんの技量はさることながら、

本島さん、藤林さんが1年間ガッチャードを全力でやってきてくれたからこそ、

あえて劇伴の力を借りずにでも、迫力あるシーンが成り立ったのだと思います。

変身後の戦いは、

2人ともしっかり強いフォームを選択して、

なんなら武器まで使って、容赦ない本気の戦いです。



永徳さん、中田さんも本当に細かい部分まで意識して演じてくださりました。

吊りのアクションあり、ナパームありと、

ここ最近のアクションで1番大変だったと仰っていたほど。

そしてアフレコ収録では、

そんな全力のアクションに答えるよう、本島さんと藤林くんの2人もへとへとになるまで熱を込めて声入れをしてくださいました。







そんな中生まれた、

マスク割れ！！！

これは、脚本打ち合わせの最初の段階から

山口監督が希望されていた演出。



マスク割れとなるともちろん、

中に入るのは、スーツアクターの中田さんではなく、藤林さん。

アクション監督や、中田さんたちも綿密に打ち合わせして、割れのシーンは撮影されました。


割れた瞬間、片目だけにその感情を乗せるのが難しいお芝居ですが、

さすが、すごく心にずどんと来るシーンでしたね……

見ていただいてわかるとおり、

今回は合成処理だけではなく、割れた面も造形物として作成しています！！



そして、ヴァルバラドライバーの破損も同じく造形物を作成しています。

さて、戦いの中、どんどんと見えていったスパナの本音。



何かを得るには、何かを失わなければならない。これ「大人」をやってきた人なら何となくわかる考え方ですよね。



でもその奥底にあったのは、自分の両親のように自分も大きなものを守って死ぬんだという覚悟でした。



でも宝太郎からしたら、シンプルに大切な仲間が死ぬのは嫌。

それに、得るために失う必要なんてない。

甘いと言われたって構わない、それでも前向きに諦めないで成し遂げるのが宝太郎です。





そんな思いを目の前で受けたスパナが思い出したのは、かつて「子供」だった頃の自分でした。



「ネコも、犬も、ダンゴムシも！生きてるもの全部が幸せな世の中を錬成する」



自分のもつ、人を守るという信念の根本は、

今の宝太郎と同じ「みんなを守りたい」「幸せにしたい」ただそれだけだったことに気づいたスパナ。



それについては宝太郎の方が1枚上手で、

先に答えにたどり着いていたのかもしれません。

そんな回想シーンでは、

スパナの少年期を演じていただいた髙橋夢人さんにも再登場していただきました！

おかえりなさい！

そして、いきなりの重要回想シーン、ありがとうございました！！




ちなみに、こちらのわんちゃんは、

実は山口監督の愛犬。

写真でも、ぬいぐるみみたいに可愛いですよね

人懐っこくて、とっても可愛いわんちゃんでした～！







さて、スパナが出した結論は、

「俺たちの道は交わらない」



でもそれは、2人の歩む道は違うし途中で交わることはないけれど、きっと目指す先のゴールは同じになったということ。

スパナが再び戻ってくる姿を期待して待ちましょう！！！！

(とか言って、ガッチャードあと3話なんですけどね！)







そして最後に、

戦いの余韻を最大限に引き出してくださったのが、福田さん演じる鏡花。

いないソファを見つめて、

「……ばか」の間から表情から何から何まで絶妙すぎます！！！



撮影現場では涙されていた福田さん。

このひと言、ひとカットずつに魂を込めていただきました。



怪我していたということがありつつも、
あえて決戦の場に鏡花が行かなかったも効いて、最高の締めを演出していただきました！

そして(スパナに言われたように)鏡花は私が守るんですわという感じのラケシスがめっちゃかわいい。

ガエリヤの本当の目的、

宝太郎VSスパナは一件落着したものの、



仕込まれていたさらなる策略が動き出しました。

苦しむりんねと、
りんねをモデルに創られ、囚われたアトロポス。


因縁の2人の最後の物語を絶対に見逃さないでください！





ということで！今週はここまで！

富良洲高校掲示板でした！

（文責：原島果歩）