第11話
キャッチ！スパイだ！？ライダー失格！

仮面ライダーガッチャードは主人公・宝太郎のキャラクターを筆頭に「明るく！見やすく！」をテーマにお送りしております。
9,10話京都編などはその最たる形。

日曜の朝からテンションアゲアゲで楽しめる。
それがガッチャードの魅力であり、これから１年間楽しんでいただきたい部分です。


ですが。

それでも。


試練の時は訪れます。
青空のもと出港した帆船ガッチャードも、嵐を乗り越えなければならない時が来たようです。

そんな嵐の操舵を任せられるのは、どの監督よりも作品に向き合ってきた福沢博文アクション監督ただひとり。

監督兼アクション監督というやや無茶なお願いでしたが、
快く受け入れて下さいました。

福沢監督が導く先にあるものは……

ご期待下さい。

（文責：湊 陽祐）

京都にやってきていた
ケミーの中でも最高ランクの存在
「レベルナンバー１０（X）」

その内の一体、「UFO-X」。


最強の「レベルナンバー10」ケミーたちの登場により
物語は大きなうねりを迎えていきます。


仮面ライダーのような「1年もの」は
パイロット監督がふたたび監督を担当する
今回の「10話」までが、ある種ひとつの分水嶺。

その年の方向性や番組のありようの到達点が
だいたいこのあたりで分かったりします。

この10話までを、仮に
「第1章・ガッチャ！ケミー！」篇と称するならば

来週からは、言ってみれば
「第2章・襲来！ レベルナンバー10！」篇。

加治木と聖をつないだ「UFO」が
最強のケミーに形を変えて、これからの物語もつなぎます。

ということで来週からは
「レベルナンバー10」の威光に
本格的に慄いていくことになるのですが……。


しかしどうでしたか？、この京都回

シリーズの分水嶺となる「第10話」

「修学旅行」という普遍な学生要素と
「人とケミー」という独自の番組要素。


しっかりとこの2種を混ぜ合わせ

いわば第1章のエンドマークとして
自信をもって、皆様にお届けできた気がしています。

もちろんそれはスタッフキャストの皆様
そして、京都と「ガッチャード」
どちらも知り尽くした田﨑監督のお力あってこそ。

キャラクターたちも、みんな話数を重ねて
その魅力がだんだん熟成されてきました。

ゴルドメカニッカーという
「スゲエかっこいいけどデカくて全然動けない」
という新フォームに対して

そのメカ要素まで加味して
脚本の長谷川さんが作ってくださった
今回の展開。

自分を身代わりに、雷撃を受け続け
友が歩む道を作る。

10話までで描いてきた宝太郎のキャラと
ゴルドメカニッカーという新フォームが噛み合った
見事な展開でした。

第4話のあとがきでも書きましたが
宝太郎は多分、自ら誰かを引っ張るタイプじゃありません。


「言う」力より「聞く」力、「受ける」力に長けた人。


それは時には
受け身に見えてしまう弱点もあるかもしれないのですが

その態度
「誰をも受け止める、受け入れる」その力に
救われる人が居るのも確かなこと。

だから、ケミーたちが宝太郎に懐くのですね。
自分たちを受け止めてくれる、いわば「家」のような存在だから。

そんな彼に救われた人。
加治木と聖、そして聖の兄である
姫野剣さんも、大きくはそう言えるでしょう。

姫野剣役は、守山龍之介さん！！

9話からフードの囚人としてご出演いただいたおりましたが
その正体は、聖のお兄さん。

監督からあった

「聖の恋人」と加治木が勘違いしないといけないので、甘いフェイスで

という要望に、ばっちり適したカッコよさがありながらも

なんと守山さんも関西ご出身ということで
木下彩音さんと同じく関西弁でのお芝居に取り組んでいただき
その悲壮感と狂気に満ちたムードを作ってくださいました！

守山さん、悲しみ背負った絶妙なお芝居
剣をご担当いただき、ありがとうございました！！

キャストと言えば
今回は加治木役の加部くんの凄腕が
遺憾なく発揮された、スーパー加治木回。

こんなコメディから

最後の聖さんとの感動まで。
全編通して、加部くんのお芝居パワーで引っ張っていてもらった
京都篇だったとも言えるでしょう。

最後の渡月橋での出会い直し。

初期の脚本では
聖と加治木の記憶を失ってしまうことによる切なさ
それによる別れだけを押し出す方向も考えられていたのですが

それだと二人があまりに哀しい。

一縷でも光明があったほうが、日曜朝のガッチャードっぽいかなと
脚本の長谷川さんにお願いして
この「出会い直し」の展開にしていただきました。

結果的に、とても「ガッチャード」らしい
切なさと明るさが入り混じった、良いラストだったのではないでしょうか。

加部くん、そして聖役の木下さん
改めまして、ありがとうございました！！

そしてゴルドメカニッカーだけではなく
なんと今回は新フォームがもう一つ！

燃える薔薇と消防車がガッチャンコ！
消火したいの？ 着火したいの？ どっちなんだい！

仮面ライダーガッチャード　ヒーケスローズ！

前回、なにを間違えたのか
仮面ライダーなのに巨大ロボで観光名所めぐりが
楽しくなっちゃって（？） 結果尺が無くなってしまったので

後編、10話のほうで一気に新フォームが2体も出てきてしまいました。
（ほんとは1話1体新規造形がデフォなのに！ 恐るべし巨大ロボの魔力）

ヒーケスローズで消火するために
燃え盛る炎の大バトル！

大変な撮影の中
スーツアクターみなさまの煌めき迸る！

炎の中のガッチャード、マジカッコいいぜ！！！！！

永徳さん、そしてバッテリーマルガムの井口さん
お疲れ様です、そしてありがとうございました！



9話から引き続きのジャングルマルガムさんに加え

今回10話で初出だったのが
「ライデンジ」がマルガム化した「バッテリーマルガム」。

相変わらずプレックスさんの秀逸なデザインに唸ります。

ちなみに今年のサブタイトルは
「必ずケミーの名前を入れるorもじる」という縛りを設けているのですが

今回、どうしてもサブタイを
京都舞台の往年のサスペンスドラマ風にしたく……


それが上記法則と喧嘩して
サブタイ考案にとても苦悩したことは内緒です。

以上、ザツダンでした。（雷電事件＝ライデンジ）




そうだついでに、マルガムの精製について
ここらでひとつ与太話をしておきましょう。

あくまでザツダン程度に読んでくださいませ。




この番組の錬金術とは
2話で説明がありましたが

「命なきものにかりそめの命を与えること」

です。

史実にある錬金術とは
化学的な所作で「純金」を精製するのを目指した営み。

しかしそれにより見出された
もう一つ有名な目標がありました。
それこそは賢者の石に代表される「永遠の命」。

つまり、現実の錬金術は
「金／命」という二つの極を志したのです。


そこで仮に「ガッチャード」世界の錬金術は
化学的な調合による「金」の精製ではなく

「命」に関する研究を主とした学問

この方面に発展してきたとしたら？　というストーリーを引いてみまして


そこから
「命なきものにかりそめの命を与えること」
という原則が考案されました。



ニッケル20グラム、炭素400グラム、水銀ﾎﾆｬﾗﾗグラム……
これを窯で混ぜ合わせて……

みたいな所作こそ錬金術なのでは？　ということは重々承知ですが
それでは画的な振れ幅にどうしても欠けてしまう。


「命」を与える、そのロマン。
この言葉を軸にした方が、様々な振れ幅が作れると踏んだのでした。

りんねたちが日本刀を動かし集め避雷針にしたりした
今回のアクションは、まさにその一端。

命があるからこそ、動き、変形し、融和できる。

「ケミー」とは、そんな錬金術の究極であり
その特性の集合体。

命あるものの、他者（外界）と交わるという本質。
そういうわけで「マルガム」化というリスクも生まれてしまったのですね。


基本、人間とケミーが錬成されるとき
その関係は「一対一対応」が原則です。
それが悪くなればマルガムに、良くなれば５話のアサヒGのように。

その単体錬成に比べて

「ガッチャードライバー」だけが
２種以上のケミーの力を完全に融け合わせた
「人とケミーの完全多重錬成」を可能にさせているのです。


一方、９話で
ラケシスのクローバーマルガムが「バンバンブー」を
もっといえばヴァルバラドも２枚以上のカードを使っておりますが

これはあくまで、表面的なもの。

融け合うのではなく単に付け加えていく
いわば「装備」的な考え方であり

やはり完全融和には至っていないようです。

さて、「完全錬成」を可能にしているガッチャードが
「レベルナンバー１０」の最強ケミーたちと出会っていくとどうなるのか？

「受け入れる」力の宝太郎が
「最強」と出会い、どう錬成されていくのか……！？

ザツダンが、すっかり本筋の話になってしまいましたね。



ということで来週からは「レベルナンバー１０」月間！
皆様、その化学反応に、胸を躍らせておいてくださいませ！



以上、富良州高校掲示板でした！

（文責：松浦大悟）