2024年 11月 26日
11月19日(火)開催 劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』Wビギンズナイト イベントレポート

劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』の大ヒットを記念して、11月19日(火)にWビギンズナイトを開催しました。
劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』と『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』を2本立てで上映後、椛島洋介さん、田﨑竜太さんによるW監督トークショーを実施。
MCはエグゼクティブプロデューサーである塚田英明さんが務めました。
以下、イベントレポートをお届けします。
Wビギンズナイト イベントレポート
映画本編の上映後、椛島洋介監督、田﨑竜太監督、そして進行役を務める塚田英明プロデューサーが登壇。
塚田プロデューサーが前説として、『MOVIE大戦2010』の『仮面ライダーディケイド 完結編』を話題に出し、客席からは大きな笑いと拍手が。
『仮面ライダーW』で園咲琉兵衛を演じた寺田 農さんが、屋台のシーンの撮影で長時間待たされて怒っていたという、映画の撮影秘話も飛び出しました。
劇場版『風都探偵』の感想について聞かれた田﨑監督は、「撮影現場の緊張感とかも思い出され、いろいろなものを吸い込んでリジェネレーションしていただいたなという気がして。
椛島監督の『W』に対しての愛がすごく出ていて、ビックリしたと同時に嬉しかった」と語りました。
椛島監督は『仮面ライダーW ビキンズナイト』を研究し、仮面ライダースカルとタブー・ドーパントが戦った場所のロケ地の完全再現を目指したと明かし、田﨑監督がスカルの足元の通路に隠れている翔太郎のシーンの構図、カメラアングルの再現度の高さを絶賛。
それを受けて椛島監督は、「いつもの僕だと、(翔太郎がいる)通路と(スカルがいる)上の部分を一体化してくれとオーダーするんですけど、今回はあえてやらずに。
ただ、翔太郎が見上げているシーンはタービンの下にカメラを入れていて。あれは3Dならではのアングルかなと」と話しました。
アニメと実写のイマジナリーラインを意識した演出の違いから、『MOVIE大戦2010』の上映時間の話となり、塚田プロデューサーはディケイド編、W編、MOVIE大戦編を90分に収める必要があったと回想。
「『ディケイド』チームと『W』チーム……具体的に言えば私と白倉(伸一郎プロデューサー)が『そっちがもっと短くしろよ』とケンカして、田﨑さんにたしなめられました。大人げなかったですね(笑)」と、プロデューサー大戦が勃発していたことを明かして、会場の爆笑を誘いました。
田﨑監督は地球(ほし)の本棚の映像表現について、『マトリックス リローデッド』を参考にし、同じ本棚をコピーする手法で合成のカロリーを抑えつつ、奥行きを演出したと振り返りました。
話題は荘吉が地球の本棚に入るシーンへと移り、田﨑監督は詳細が描かれた『風都探偵』に対して、『W ビギンズナイト』の描写を「力技でしたね(笑)」とコメント。椛島監督は「スカル(メモリ)のエネルギーをぶつけないと、あそこの構造式を壊せないかなと。
スカルの音声を連呼させたり、構造式にSKULLの文字を入れたりして、(構造式を)破壊していると演出しています」と語りました。

『MOVIE大戦2010』だけでなく、『仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE』と「Nobody's Perfect」のミュージックビデオでも、吉川晃司さんが演じる荘吉を演出した田﨑監督は、吉川さんを「歳が近いこともあって、非常に意思疎通がしやすい方」と語り、身体能力の高さを絶賛。
椛島監督は吉川さんと直接会った際、柔軟な吉川さんとハードボイルドな荘吉のギャップに驚いたとのこと。
田﨑監督は荘吉の演出について、「僕が作り込んだというより、ホン(脚本)を読んで吉川さんが持ってきたものが、すごく鳴海荘吉だった気がします」と話しました。
アニメで荘吉を演じた津田健次郎さんの印象を、椛島監督は「すごく話しやすく、素敵な方」とコメント。
リアルな舌打ちがほしかった舌打ちのカット以外では、演技でお願いしたことはなかったと話し、「声は違うけれども、吉川さんの鳴海荘吉もしっかり内包されているようなキャラクターになったかなと思います」と振り返りました。
塚田プロデューサーは『MOVIE大戦2010』終盤に登場した別の世界の荘吉のシーンを思い返し、「『またどこかの世界で会おう』と言っているのが、これアニメの世界の鳴海荘吉もあるなと」と新解釈を披露。
椛島監督もお気に入りのシーンで、「顔だけ(スカルの)変身が解けるじゃないですか。あれがやりたくて(アントライオン・ドーパント戦)の顔の変身、ちょっと遅らせていますからね」と明かし、会場から拍手が起こりました。
翔太郎にとっての荘吉のように、影響を受けた人について聞かれた椛島監督は、「アニメーターの大師匠」として、ロボットアニメ界の巨匠である大張正己さんを紹介し、「ロボットなのに腕や足に筋肉のラインを感じるフォルムの描き方を開発されて、今もなおその技術で描かれているから、現在のロボットの作画はカッコいい」と、すごさを熱弁しました。
田﨑監督は、喜劇映画の名手である瀬川昌治監督と、『仮面ライダーBLACK』などに携わった小林義明監督の名前を挙げて、特に瀬川監督からは人物の動かし方の基礎などを見て学んだと話しました。
椛島監督は弟子的な存在として、劇場版『風都探偵』のメインアニメーターの一人である木村和貴さんを、「仮面ライダー作画監督頭」として紹介。
「僕に近いライダーを描いてくれて、アニメーターとしてもすごく優秀で、スカルの変身シーンからアントライオン戦の原画を描いてくれたんですけど。
僕の意志を全部汲み取ってくれて、彼がいたから今回のライダーの作画が安定したところもあるので、彼を基軸に後進を育てていきたいです」と、今後の展望を語りました。
田﨑監督は、若い監督が続々とデビューしている仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズ、京都撮影所の状況に言及し、「特撮がお好きな方は、注目いただくといいんじゃないかなと思います。
僕は特に若い人には何かしているわけではなくて、一緒に呑むくらいですけど(笑)」と、笑いを誘いながらも後輩たちの活躍をアピールしました。
もうすぐ監督デビュー30周年を迎える田﨑監督は、「女性スタッフがものすごく増えて、男女比がだんだんイーブンに近づいてきた」と撮影現場の変化を語り、椛島監督も「一枚描いていくらという世界だったのが、最近はどこの会社も社員雇用をするようになってきた」と、アニメ業界の現状を話しました。

トーク終盤は、『W』『風都探偵』の主人公である翔太郎とフィリップの話題に。
田﨑監督は『W』でフィリップを演じた菅田将暉さんについて、「(『W』の翔太郎役の)桐山漣にこうでしょうと言っていることを、彼は横で聞いて自分で直していたところがあって、素晴らしかったです」とコメント。塚田プロデューサーは、田﨑監督が『MOVIE大戦2010』の桐山さんの演技を褒めていたと振り返り、それを受けて田﨑監督は「翔太郎というものをあそこまで体現できているのは彼だけだなと。ハーフボイルドが(別の世界の荘吉に)褒められて泣くところとか、『桐山 漣、良かったな』と思って」と、当時絶賛した理由を明かしました。
椛島監督は『風都探偵』の翔太郎役の細谷佳正さん、フィリップ役の内山昂輝さんへの演技のオーダーについて聞かれ、最初のキャラクター説明以外ではほぼなかったと回答。『風都探偵』のアフレコでは、定尺を出さないようにしているという椛島監督は、「芝居の素人である僕らが、役者さんの芝居の間をコントロールしたくない」とこだわりを明かし、「伸び伸びやってもらった形が、映像のお芝居になっていると思います」と語りました。
最後に塚田プロデューサーは、11月22日(金)から配布する入場者プレゼントのクリアカードについて、笑いを誘いながら「とっても良いもの」と紹介しました。
田﨑監督は「15年前の映画も愛してくださって、本当にありがとうございます」と、ファンへの感謝を伝えました。
椛島監督は、自身が着てきた劇場版『風都探偵』仮面ライダースカルTシャツを見せながら、劇場物販と11月23日(土・祝)開催の生コメンタリー上映をアピール。
「『あれ話せばよかったな』と、終わってから思い出すこともあるので、気になる人はXで絡んでください」と話し、笑いと拍手に包まれてイベントは幕を下ろしました。