2022年 7月 10日放送

第43話 「永遠の終わり、後悔の向かう先」

脚本: 木下半太

監督: 柴﨑貴行

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自身の悪魔ーベイルと決着をつける様を背中で見せた元太。
それを見た大二の心は激しく揺れ動く。
父の決死のメッセージは大二に正しく届いたのだろうか。

しかし、その答えを遮るようにギフが恐怖で希望を覆い尽くす。
その恐怖は、朽ち果てたはずの赤石すら支配する。

平和の象徴のはずだったアララトが襲われたその時、
一輝はついに、ギフと拳を交える。
世界を守るために、たとえ家族の記憶が失われようとも…。

見どころ

41、42話のテーマは「父と子」。
子供たちの世代に難題を残してしまったことを憂いていた父親たちは、
贖罪の念から過去の清算をしようと試みました。

ベイルと戦うことで、元太は、大二に「悪魔との共存の可能性」を
お互いの発明品による代理戦争を経て、真澄は、ジョージに「世代交代」を。
それぞれが、息子たちの未来のために伝えるべきことを探し、行動した。

そんな父親たちの決意が、劇中の子供たちだけではなく、テレビの向こうの
子供たちの心にも刻まれることを願ってやみません。

このエピソードを自分の回だ!と先頭に立って牽引して下さった戸次さんは、
元太に呼応するかのように、多くを語るのではなく「背中で」、
役者としての力を、経験を、決意を、若いキャスト陣に伝えようとしてくれていたように見受けられました。
普段から飄々とされている方ですが、内面にはとても熱いものを抱えていらっしゃる。
待望の変身へのモチベーションの後押しを受けて、それを余すことなく、
カメラにぶつけて下さった結果が皆さんがご覧になった映像です。
異次元の迫力でありました。

一連の戸次さんの作品への取り組み方は、これまたきっと、
若いレギュラー陣にとっては素晴らしいお手本になっていると思います。
先日の橋本じゅんさんと矢柴さんの熱演の際も感じましたが、
とても贅沢な現場だと思います。
遠くない将来、彼らがその「背中」を受け継いで、
日本を背負う俳優として飛躍していってくれることを期待しております!!

さて、43話からはいよいよギフと直接のご対面。
これまで沈黙を保ってきた(こちらが聞き取れなかっただけ?)
ギフがついに言葉を発することもあるかと思いますが、
赤石が代弁者となって語ってきたことは果たしてギフの本懐なのでしょうか。

一輝達の置かれた状況そのままに、撮影現場も佳境中の佳境。
日々、繰り広げられているのはキャスト陣による激しい芝居のぶつけ合いと、
渡辺淳アクション監督率いるアクションチームのハイパフォーマンス。
最近は本当に目眩のするような熱さの中で、
スタッフ全員が少しでも良いもをのお届けすべく戦っております。

熱は熱で制すー。
画から溢れんばかりの熱気を、感じ取ってもらえれば嬉しいです!



(文責・望月 卓)

第42話 あとがき

■許す者と許さぬ者
42話いかがでしたでしょうか。元太VSベイル、そして、真澄。25年前から始まった因縁の決着は、かつて白波純平という名前だった人物が五十嵐元太へと“変身”を遂げたことでこのような決着を迎えました。
元太「俺はお前を許すよ、ベイル」
ベイル「俺は貴様を許さないぞ……永遠にな」

TTFCで全5話配信中の『リバイスレガシー 仮面ライダーベイル』をご覧になっていただいた方は、よりこの会話の意味が染みたことかと思います。第5話で元太のもとの人格である白波純平がベイルとの最終決戦を前に言放った言葉。

純平「俺はお前を、悪魔を許さない」
ベイル「俺が悪魔なら、貴様も悪魔だ!」
純平「だったら俺は、俺も許さない!」
今回元太の導き出した結論が、25年前とは真逆であったことがやりとりの変化から見えます。元太を変えたのは、幸実の語った3回の“変身”。それは、一輝、大二、さくらが生まれ、父となり、今の五十嵐家となったこと。

ギフ由来の遺伝子から生まれた悪魔に関して、その存在が消えると宿主も消えてしまうリスクがあります。ベイルと決着をつけると言うことは、まさに“命がけ”の行為。25年前の純平は、自分もベイルも同罪であると受け入れ、自分が消える結果も厭わず決戦に臨みました。
一方で現在の元太は、狩崎親子に協力を仰ぎ、五十嵐元太としての答えを選びました。
自分の悪魔も自分自身も選び、悪魔とともに生きていくこと。

それはただ戦士としての生き方ではなく、家族を持つ父親としての自然な選択だったのかもしれません。瀕死の状態から生かされた命とはいえ、組織に利用されて果てていたかもしれない人生が、ひとりの女性との運命的な出会いで変わった。またひとつ、リバイスにおける「家族」と「人間と悪魔」の物語が紡がれました。元太の決断に対して「永遠に」という言葉を返すベイルは、どれだけボロボロになった絆だとしても、つなぎとめておきたいといういじらしさえ感じるものでした。これにて、リバイスにおける元太とベイルの物語は終幕です。

メイキングより。25話で変身を遂げたものの、ベイルに乗っ取られている状態というものであったことから、今回の元太自身の変身を誰よりも楽しみにされていた元太役の戸次重幸さん。

変身ポーズは組んだ両手を腹に強くぶつけるような仕草は覚悟の象徴として「切腹」をイメージしたものだそうです。忙しい舞台稽古の合間を縫って、メイン回の撮影に臨んでくださった我らがパパさん。小雨の降る中血まみれになりながらの絶叫。気迫のこもった芝居のひとつひとつで作り上げられた元太の覚悟。お見事でした!

そして、元太の選択を目の当たりにした大二。兄妹達が差し伸べてくれた手に両手を伸ばしかけるまで心が揺り戻されている様が垣間見られたものの、無残にその間を引き裂く爆炎。
固唾をのんで見守っていただいている皆様も多い中とは思いますが、ここから大二の決断も大きく動いていくこととなります。26話でのカゲロウとの対峙は、強くなるギフの影響を前にカゲロウ自身ともに納得して選んだ道。だからこそ、40話で一輝との対決の際に叫んだ「背負っているものが違う」という言葉にも重みがありました。大切だからこそ、一度選んだ道を引き返すことは躊躇われるもの。とはいえ、誰の目から見てもバランスを欠いてしまっていることも明らかです。そんな大二の中で確実に大きくなりはじめている“ある想い”が今後の展開にどう結びついていくのか、必見です!!


(文責・近松 知佳)

■さらばベイル
1人の男と1人の悪魔のドラマが終わりました。
五十嵐元太(白波純平)とベイル。
許す者と許さぬ者。
ベイルと共にリバイスを駆け抜けたこの方もオールアップでございます。
デモンズドライバーの声の主として初めてアフレコにご参加いただいた際、監督のイメージにビタハマりする激シブ低音ボイスに鳥肌が立ったことをよく覚えています。
津田健次郎さん、本当にありがとうございました。

五十嵐家の長男と次男も取材の合間を見計らって、オールアップにお立ち合い。
カゲロウ衣装に身を包むのが久々の日向くん。めちゃめちゃテンション上がってました。
いまリバイスの特集ムック本を鋭意製作中ですっ!
ショートアニメ以外でカゲロウが見られる機会はなかなかないので、お楽しみに。
そのほか、書籍ほか色々と企画進行中です!!!
乞う、ご期待!

(文責・百瀬 龍介)