飛羽真はメギドになってしまったゆきを助ける術がなく、メギドを斬ろうとするユーリの剣から体をはって守ることしかできなかった。
そんな飛羽真にユーリはかつての本をめぐる戦い、自らが剣になった理由を語る。そして、飛羽真に覚悟を問う。
早くしなければゆきが完全にメギドになってしまう。答えを見つけられずに焦る飛羽真の前に、倫太郎と大秦寺が現れる。話し合いに来た２人だったが、そこにメギドが現れる。すぐさま変身してメギドを倒そうとする倫太郎。飛羽真もセイバーに変身するが・・・。

これまで一枚岩だった飛羽真、ノーザンベースの剣士たちがバラバラになったことで、それぞれが様々なことを考え、行動していきます。
これまで頼りにしてきた仲間がいない飛羽真はユーリと対立しながら一人で事態に対処しようともがき苦しみ、人を救う道を探す。芽依も新たな一面を見せます。
そして、どこまでが本気かわからないとぼけたユーリが飛羽真だけでなく、倫太郎たちにどんな影響を与えていくのか。お楽しみに！

（文責・高橋一浩）

〜キャラクター紹介〜
イエティメギド：羽多野渉

ソロキャンプ中だった白井ゆきにレジエルが新たな白いアルターライドブックを埋め込むことで誕生したイエティメギド。（この辺りの新設定は下で解説致します）
声を演じていただいたのは、実力派超人気声優の羽多野渉さんです。
歌って踊れるクールなイケメンから、オネエの失恋スケーター、妹思いの硬派なヤンキー、寡黙な４番バッターなどなど…７色の声、という言葉ではとてもとても足りないくらい、数々の演じ分けをこなすカメレオン声優の羽多野さん。現場でアフレコを拝見していても、あの端正なお顔からイエティの野太い声が出てくるギャップには目を疑います。
そしてうめき声のみで感情を表現する表現力もさすがの一言！
ただ、せっかくの羽多野さんがうめき声だけなんで勿体ない！とお思いの方…ご心配なく。
次回18章も引き続き、羽多野さんの名人芸にご注目下さい。

〜現場通信〜

あけましておめでとうございます。
第17章「古の使者は、光か影か。」ご視聴ありがとうございました。
新年1回目の放送はメギドたちの新たな作戦に、新たに加わったキャラクターのユーリ、そしてそのユーリが変身した仮面ライダー最光が駆使した“シャドー”という新しい戦い様。
年末から様相を変えて新展開で動き出し、なおも盛りだくさんなセイバーワールドはいかがでしたでしょうか。

そんなセイバーワールドにさらに新たな風を吹き込み魅力的に演出してくださったのは、諸田監督。

セイバーでは初めての監督担当となりましたが、諸田監督らしくセリフ一言一言の意味や登場人物の気持ちをとても大切にして、キャラクターを丁寧に積み上げて見事に映像化してくださいました。
前回の坂本監督が担当する回にて初登場と初アクションとなっておりました市川知宏さん演じるユーリでしたが、いったいどういう人物なのかというのが今回の諸田監督演出のもと、はっきりくっきり見えてきたのではないでしょうか。
1000年以上ものあいだアヴァロンという異世界にいたことから、現在の世界のものには疎くていろんなことに興味のある不思議ちゃんなキャラクターとなりました。
街の人にも興味を持ち服装をコロコロと変えるシーンや、芽依ちゃんが話している途中に興味の湧いたジオラマに夢中になってしまい話を聞かなくなってしまうのも諸田監督のアイディアで生まれた演出。

これによって「現代のことを知らず、いろんなことに興味がある」という点だけ見ると倫太郎と似てしまいそうなところを、ユーリは自分の興味でしか動かずさらにはちょっと迷惑……という、さらにキャラ立ちした人物になったのではないかと思います。
実際にいたらかなり迷惑そうなユーリですが、愛嬌があって面白く見えるのは演じる市川さんと監督が話し合い相談してユーリという人物像を作ってくれたからでしょう。
これから増えてくるであろう飛羽真・芽依・ユーリの漫才のようにテンポの良い掛け合いにもご注目していただけたらと思います。

そんなゆるくて楽しいシーンがあった一方で、ハードで緊張感のあるシーンもばっちり演出してくれました。
前回からは仲間との決裂に苦悩する飛羽真、という演じる内藤くんとしても今までの15話分とは異なる感情の表現にチャレンジしてくれておりますが今回はそこに加えて編集長のゆきさんがメギド化してしまう事態に。
世界を守らなければならないのに元は人間だったためにメギドを斬り殺すことができないとの葛藤も上乗せされることとなってしまい、それに伴い今まで明るくセイバーの元気印だった川津さん演じる芽依ちゃんにもシリアスなシーンが増えてきました。
そして最後には短絡的にメギドを倒そうとするユーリとの対立などなどもあって…もう感情が大変です。
何重にも悩み苦しむ飛羽真と同様に内藤くん本人、そして川津さんもたくさん試行錯誤しながらお芝居をしてくれております。

諸田監督も演出意図をうまく伝えつつもキャストの主体性を尊重して、今までにない表情をうまく引き出してくれました。
キャラクターをみせるためのゆるい演出と心情をえぐり出すハードさの絶妙なバランス加減で、諸田監督らしさがしっかり詰まったといえる１話となったのではないでしょうか。
次回以降は飛羽真や芽依ちゃんはもちろん、倫太郎たちソードオブロゴスのメンバーの苦悩にも徐々にスポットライトがあたっていきます。山口くんや富樫くん、他のみんなも今まで以上に台本を読みこみ、現場に備えてくれておりますのでお楽しみに！


また撮影現場とCG合成の絶妙なバランスと融合により実現し、大活躍したのが仮面ライダー最光“シャドー”！！
こちらもあっと驚くほど見応えがあったのではないでしょうか。
シャドーは最光の影が実体化したライダーという設定から、常にエフェクトがかかっているような半透明の姿をすることとなりました。
撮影では実在するシャドーのスーツを着て、アクターを務める荒川真さんがお芝居をしてくれています。
これも「意識や主体は手に持っている剣である最光にある。シャドー自身に意思はない。」というなかなかハードルの高いお芝居をこなしてくれました。

現場で撮った素晴らしいアクションやキャラに攻撃エフェクトだけでなく半透明のエフェクトを加えるべく、撮影でもグリーンバックを立てて合成素材を撮ったりしつつ、CG合成チームにもかなりの負担をお願いすることになってしまいました。
立ち回りでも伸びたり縮んだり、シャドーの体はダメージを受けなかったり、投げた剣に追いついたりとCG合成をふんだんに駆使し、「影」という特性を生かした新しいスタイルのものがお見せ出来たのではないでしょうかと思います。
監督とCGチームのこだわりとしてシャドー自身が影ということで、撮影のときにはあったはずの影が放送の際には消してなくなっているのです。お気づきになられた方はいましたでしょうか？ぜひ確認してみてください。

現場もポスプロも総力を結集して見たことのないアクションと新ライダーを成立させることが出来ました。
次回以降の最光の活躍、そしてユーリがかき乱していく人間関係…！？もお楽しみにしてください。
そして今年も「仮面ライダーセイバー」の応援をよろしくお願いいたします！

〜不定期連載〜
■仮面ライダーセイバー巻末付録
このコーナーでは、仮面ライダーセイバーに関する知らなくても問題ない。
けれども知っているとさらに番組を楽しめる補足情報を語ってみたいと思います。

今回のテーマは「新たなメギドの創造」です。

カリバー／上條大地がストリウスたちの協力を得て引き起こした目次録を巡る戦い。
それは剣士たちの尽力により失敗に終わったはずでした。
しかしメギドたちにとって、目的はどうやら他にもにあったようです。
それが目次録から漏れ出した光によって、ワンダーワールドと人々を繋げる事。

これまでは、『既に本が完成しているメギド』を使って『白い本でワンダーワールドと街を入れ替え』させ、さらにその中で『メギドに本のストーリーを完成させる（複写させる）』という大変な手間を経なければ新たな「本」を書くことは出来ませんでした。
事実、今回の「世界の結び目が解ける年」の中でストリウスたちは只の１体も新たなアルターライドブックを作ることが出来ていません。（特例として、デザストのような混合種や、闇黒剣月闇の力を使って、他の聖剣とブックの力も吸収することでジャオウドラゴンワンダーライドブックを書き上げることは可能でした）

ですが、ワンダーワールドと繋がった人々を利用すれば、『白い本を人間に入れる』だけで『その人間のパーソナリティーが反映された新種のメギドが生まれ』、さらに『そのメギドがストーリーを完成させれば、本が出来上がると共にが人間が消滅する（編纂される）』という１粒で２度美味しい状況となるのです。
すなわち、イエティメギドはゆきさんの山が好きという「想い」を勝手に使って新たなストーリーとして紡ぎ出されたメギドということです。

人間の生き血を啜ったかのように赤く染まってゆく白い本はゆきさん大切な「想い」を奪い取っているかのようです。
そしてこのアルターライドブックが完成すれば、宿主となった人間はこの世界から消滅してしまうことになります。

本を書くということは、経験や体験を蓄積し、夢や理想、想いを心に宿すことができる、人間のみが出来る事。そんな本は人を幸せにするためにあると信じる飛羽真にとっても、これはとても許しがたい事です。

突然の仲間たちとの別離や、ますます加速していくメギドによる事件。
飛羽真はこの状況を打破していくことが出来るのでしょうか。

その鍵を握るのは、やはりこの男のようです。

ユーリ、大丈夫かな……

次回もご期待ください！

（文責・土井 健生／湊陽祐）