ついにオーマジオウへと至るソウゴ。彼は最高最善の魔王か、それとも!?
【LASTの振り返り】2019:アポカリプス
世界の滅亡はもはや避けられぬ事態となり、ゲイツの犠牲を経てソウゴはオーマジオウの姿に。スウォルツとの決着後、世界の命運はソウゴの手に委ねられる……。
仮面ライダーツクヨミが腕をかざすと時間が静止し、天に地に跋扈する怪人たちの動きが封じられた。だが同時にソウゴやゲイツたちの動きも止まってしまう。この場で動いているのはツクヨミ……そしてアナザーディケイド! 誰もが何故!? となるなか、ツクヨミは変身を解くと、まるで服従するようにアナザーディケイドの前で膝を折った。
「兄さん。仮面ライダーの力を手に入れました。この力、必ず兄さんのお役に立つはず」
それを聞き、変化を解いたスウォルツは邪悪な顔を浮かべながら大声で笑う。最悪の形で和解してしまった兄妹2人は肩を並べ、その場から去っていった。
その日の夜、クジゴジ堂のリビングにはソウゴ、ゲイツ、ウォズ、士がいた。
失敗してしまった士の作戦。それは2つの世界に橋を掛け、滅びゆく世界からもう一方の世界に人々を逃がすというものであった。そのために必要だったのが、ツクヨミを仮面ライダーにすること。ツクヨミの時間軸の世界には仮面ライダーがいなかったが故に滅びかけていた。ツクヨミが仮面ライダーツクヨミになったことで、ツクヨミの時間軸の世界はいわば〝仮面ライダーツクヨミの世界〟となり復活。士は仮面ライダーツクヨミの世界と〝仮面ライダージオウの世界〟を共鳴させ、そこに橋を架けようとしていたのだ。
しかし、それを実行するために、ジオウだけは自分の世界に残らなければならず、ソウゴの犠牲は避けられなかった。そのことを知りながら、何の相談もなく作戦を実行に移したソウゴを糾弾するゲイツ。それをソウゴは「バレた?」と軽い調子でいなし、ゲイツも呆れ顔に……。ただ、ツクヨミがスウォルツのもとに走ってしまった以上、もう作戦は続けられない。世界の滅びを少しでも食い止めるため、4人は最後まで戦う覚悟を固めたのだった。
決戦の翌朝を控え、夜は更けていく……。だがクジゴジ堂の作業場にはまだ明かりが灯り、そこでは真剣な顔の順一郎が何やら作業を行っていた。
朝を迎え、世界の状況はさらに悪化していた。各地に出現する強豪怪人たち。ゲイツ、ウォズギンガファイナリー、ディケイドが必死に応戦するが、事態はまったく好転しない。ディエンドもそこに参戦し、「世界の終わりを楽しめるとは最高のお宝じゃないか」と嘯くが、怪人たちは減ることなく続々と増えていく。
その頃、クジゴジ堂では、ソウゴと順一郎がテーブルで向かい合い、久しぶりに2人きりで朝食を食べていた。世界の命運をかけて仮面ライダーだからみんな戦っている、など深刻な内容の割に会話が淡々と続くなか、これが最後の晩餐のつもりじゃないよね、と順一郎がソウゴに何かを差し出した。それは18個の平成仮面ライダーのライドウォッチ。さすがは直せない時計はないと豪語する順一郎だけあり、昨晩のうちにすべてが修理されていた。この心強い後押しを受け、ソウゴも戦いへと向かう。
怪人たちを先導するアナザーディケイド。その猛攻がウォズギンガファイナリーに襲いかかるが、それを食い止めたのはビルド、エグゼイド、ゴースト、ドライブ。仮面ライダーの歴史は消えたはずだと驚愕するアナザーディケイドの前にソウゴが現れた。手にはグランドジオウライドウォッチが!
「どんなに歴史が壊されても、仮面ライダーだけは壊れない! 変身!」
復活したグランドジオウはアナザーディケイドと決着をつけるべく、猛然と攻撃を繰り出す。だが、その場にいるのはアナザーディケイドだけではない。すべての敵がグランドジオウに一斉に襲いかかり、その圧で変身解除されてしまうソウゴ。さらにこれを機と見たアナザーディケイドがソウゴに向けて衝撃波を放つ! だが、そこにゲイツリバイブ 疾風が駆けつけ、身を挺してソウゴを庇った。致命傷を受けたゲイツは変身解除され、その場に倒れ伏す。もはや助からないと悟ったゲイツは、ソウゴにオーマジオウになれ、お前なら最高最善の魔王になれると告げ、
「幸せだったぞ。この時間に来て。ソウゴ、お前の仲間に……友になれて……」
そう言いながらソウゴの腕の中で満足気な表情を浮かべ、静かに息を引き取った。
ゲイツの名を叫び、意を決したように立ち上がるソウゴ。その腰にはオーマジオウと同じベルトが……。
「変身!」
ソウゴはついに禍々しくも堂々たる風格称える時の王者「仮面ライダーオーマジオウ」へと変身を遂げた。そこにウォズが駆けつけて呆然とするが、「ウォズ、祝え」という仮面ライダーオーマジオウの呼びかけにウォズは我に返ると、最後にして最大限の祝辞を述べる。
それを見てほくそ笑んだのはアナザーディケイド。今こそその力をもらう! と手をかざし、仮面ライダーオーマジオウの力を吸収し始める。絶大な力がその身に宿るのを感じるアナザーディケイド。しかし、仮面ライダーオーマジオウに宿るのは、時空をも破壊せしめしすべてのライダーの力。スウォルツごときが御しきれるものではなかった。身体の各所から火花を散らし、苦しみだすアナザーディケイド。
そして、仮面ライダーオーマジオウは驚愕の力を見せつける。建築物はおろか自然をも巻き込みながらすべての怪人を一蹴し、討ち滅ぼす。その規格外の強さに怯むアナザーディケイド。だが、その一端とはいえ、仮面ライダーオーマジオウの力は吸収したはず。俺こそが最強の王として君臨するとオーロラカーテンを出現させて逃走しようとするが、その無様な背を貫いたのは、仮面ライダーツクヨミの腕であった。
「あなたのような王はいらない」
ツクヨミはソウゴたちを裏切ってなどいなかった。兄・スウォルツに確実にトドメを刺せる機会をうかがっていたのだ。最後の力を振り絞り、アナザーディケイドもツクヨミの胸に衝撃波を放つ。それを見て「ツクヨミ!」と叫ぶ仮面ライダーオーマジオウは、必殺のキックを放ちアナザーディケイドを貫いた! 周囲に光がほとばしる。
「ソウゴ……2つの世界をあなたに託す」
ツクヨミの最期の言葉の後に大爆発が起こりスウォルツ、ツクヨミは消滅した。荒涼たる地に残されたのは仮面ライダーオーマジオウとウォズ。世界が救われたことを喜び、改めて仮面ライダーオーマジオウへの忠誠を誓うウォズは、未来永劫に渡り君臨する王の誕生に喜ぶ。だがソウゴは決断していた。この時空の破壊を……。
「それがお前の選択か」
ソウゴの脳裏に響いたのは、50年後のオーマジオウの声。精神世界の中、ソウゴは王座に座る50年後の自分自身と対面していた。今、王として君臨する資格がありながらもそれを拒否するソウゴの想い。この戦いの勝利は皆の力で勝ち取った。だが、ゲイツやツクヨミ、そしてライダーたちはもういない……。そんななかで自分が王になっても意味はない。覇道ではなく王道、それがソウゴの王としての選択だった。
気がつくとソウゴは仮面ライダーオーマジオウとなり、元の世界にいた。腕を大きく広げると、すべてが消えていく。破壊と創造は表裏一体。それこそが仮面ライダーオーマジオウの持つ真の力。高台からソウゴの決断を見ている士と海東も、新しい旅が始められそうだと満足げな表情をしている。すべては光の中に消え、融合していた時空=ライダーの世界も元通り、いや、新たにひとつ加わり21個の世界となり分離されていった……。
こうして常磐ソウゴは仮面ライダーの王・仮面ライダーオーマジオウとなり、自身の夢を叶えた。そして、すべてがつくり直された世界で常磐ソウゴの新たな物語が始まる。
彼が再び王になるのか、それはまだ誰にもわからない――。
ピックアップ
ツクヨミの裏切り
ソウゴたちを欺き、裏切ったふりをしていたツクヨミ。自らの手で兄・スウォルツを倒し、ソウゴに世界を託したいというのがその理由だったが、加えて、門矢士の作戦にソウゴの犠牲が必要だということに気づいていたのかもしれない。それを回避するための行動でもあったのだろう。
世界の終末に出現した強豪怪人たち
世界の終末が近づくに連れ、仮面ライダーを苦しめた強豪怪人が続々出現。『仮面ライダークウガ』より、グロンギの長にして闇を生み出すン・ダグバ・ゼバ。『仮面ライダーW(ダブル)』より、人の生きる希望を吸い取るユートピア・ドーパント。『仮面ライダーフォーゼ』より、射手座の怪人、サジタリウス・ゾディアーツ。『仮面ライダーエグゼイド』より、「仮面ライダークロニクル」のラスボス的存在、ゲムデウスバグスター。『仮面ライダービルド』より、地球外生命体のエボルトが変身した仮面ライダーエボル。以上の5体が大暴れし、世はまさにハルマゲドンの様相を迎えていた。
仮面ライダーオーマジオウ
常磐ソウゴがオーマジオウになると覚悟を固めたことで専用のベルトが腰に出現、変身した姿。すべての平成仮面ライダーの力が宿っており、規格外の能力を秘めている。その力の一端として時空の破壊・創造が可能で、最善最高の魔王の道を歩んだソウゴは破壊による支配ではなく、すべてをやり直す創造を選択した。
今週のアイテム
ツクヨミライドウォッチ
ツクヨミがジクウドライバーにセットすることで、仮面ライダーツクヨミに変身する。2068年のツクヨミが持つブランクのライドウォッチに、オーマジオウが力を与えることで、2019年のツクヨミの持つブランクのライドウォッチがツクヨミライドウォッチに変化した。