受け継がれていく気高き鬼の魂
【EPISODE34の振り返り】2019:ヘイセイのオニ、レイワのオニ
桐矢京介は仮面ライダー響鬼ではなかった! そして、祝福の迷宮に迷い込んだウォズは、トドロキの弟子を1日体験することに……。
アナザー響鬼の攻撃を受けて変身解除された京介。追撃を加えようとするアナザー響鬼だったが、京介の「ツトム!」という必死の叫びに反応。その隙を突いたゲイツリバイブ 疾風が素早い一撃を放ち、アナザー響鬼を吹き飛ばす。戦いの一部始終を見ていたウールは、京介が響鬼だと思っていたため、あてが外れたと苛立ちながら、アナザー響鬼を連れて撤退する。
戦いを終え、京介はトドロキに叱責される。弟子の不始末は師匠がつけるのが鬼の掟。それをできない甘さこそ京介が響鬼を襲名できない理由なのではないか。トドロキの言葉に「うるさい!」と聞く耳を持たない京介。そんな京介の態度に呆れるトドロキは、ならば自分がやるだけだとその場を去っていく。
皆が帰宅したクジゴジ堂では、仏頂面の京介をゲイツとツクヨミが見つめている。沈黙のなか、最初に口を開いたのはゲイツ。京介が響鬼でなければあの修行はいったい何だったのか、怒り気味で京介に詰め寄る。そんなゲイツをソウゴが抑え、京介が響鬼を騙ったことやツトムのことを聞き出そうとする。だが、対する京介はツトムとソウゴが同級生だったと聞くと少しだけ反応を見せたものの、プライベートなことはノーコメントだと頑として話さない。
これでは埒が明かないと、ソウゴはウォズとツクヨミを連れてトドロキの元へと向かうことに。それどころはないウォズは同行を拒否しようとするが、ソウゴに強引に連れ出されてしまう。
その後も相変わらずクジゴジ堂で尊大な態度を貫く京介は、リビングで順一郎の出す料理を味わっていた。京介がふとテーブルの上を見ると、1冊の本が目に入る。それはソウゴの小学校時代の卒業文集。そこにツトムの夢が書いてあるというゲイツの言葉を聞き、京介は文集を手に取りツトムのページを開く。すると、京介は急に立ち上がり、クジゴジ堂を出て行くのだった。
一方、ソウゴは河原にいるトドロキに会い、そこで鬼に関する話を教えてもらう。鬼とは師匠から弟子へ受け継がれる襲名制であり、京介は響鬼の弟子であると。その名を受け継ぐために修行をしていたのであれば、京介が響鬼であるというのもあながち嘘ではないと納得するソウゴ。だが、京介は襲名前に勝手に響鬼を名乗り、さらに弟子までとってしまった。こんなことは絶対にありえないことだとトドロキは言う。
それを聞き、トドロキに弟子はいないのかと聞くツクヨミ。するとトドロキは、自分が教えを受けた師匠が偉大すぎて、その覚悟が固まらないと語る。〝己を鍛え、己に打ち勝つ〟それが鬼である。厳しい鬼の世界を垣間見たソウゴは、落ち込み迷うウォズを見て、何か見つかるかもと1日だけトドロキの弟子にすることを提案する。
ウォズをトドロキに預け、帰宅しようとするソウゴとツクヨミ。すると、ソウゴの携帯電話にゲイツから連絡が入る。京介がアナザー響鬼に襲われているというのだ。ソウゴとツクヨミが急ぎ現場に着くと、鬼=京介変身体がアナザー響鬼の猛攻に防戦一方の状態であった。ソウゴがジオウⅡに変身してサイキョーギレードでアナザー響鬼を斬りつけようとするが、京介変身体は身を挺してジオウⅡの攻撃を受け止める。その隙にアナザー響鬼は逃走した。
外でたたずんでいる京介にソウゴが声をかける。なぜ響鬼を襲名できなかったのか、聞きにくいことをズバリ聞くソウゴだったが、京介は少しずつ過去を語りだす。何があっても諦めない強くて男らしい男。それが自分の師匠であるヒビキであった。常に憧れの対象として見ていたが、どんなに頑張っても自分はヒビキのようにはなれない……。それを聞き、ソウゴはツトムも響鬼=京介に対し同じことを言っていたと語る。小学生時代、王様になるという自分をみんなが馬鹿にしていたが、ツトムだけは違った。いつか師匠の響鬼のようなカッコいい鬼になり、みんなを守りたいと。だったら一緒に夢を叶えよう! そう約束したあの日のことを、懐かしそうに話すソウゴ。
自分はそんな大した男ではない。ツトムに嘘をついていたんだと自らを卑下する京介。だがソウゴは言う。ツトムにとって京介こそが憧れの対象であり「響鬼」だったことは間違いなはずだと。
「あいつにとっての……響鬼か」
そして、ツトムを助けようというソウゴの言葉に京介が同調する。そこにツクヨミとゲイツが現れ、2人にアナザー響鬼の目撃情報を伝えるのだった。
ソウゴ、ゲイツ、ツクヨミ、そして京介がアナザー響鬼の元へ。京介にもう迷いはなかった。どんなに修行を積んでも追いつけない高い壁、ヒビキ。だが、そんな自分に弟子入りを志願してきたツトム。最初は渋々だったが、ツトムが側にいたことで、自分は一人前の鬼になれたのではないか。ツトムに届けと自分の想いを独白する京介のポケットから輝きが放たれる。そこにあったのは響鬼ライドウォッチ!
「ヒビキさん。俺を響鬼として認めてくれるってことですか」
京介が響鬼ライドウォッチを起動すると、その姿は威厳湛える深い紫のボディを持つ鬼=仮面ライダー響鬼へと変身した。そこに駆けつけたウォズがいつものように堂々と、新たな響鬼の誕生を宣言する。
そんなウォズも、またひとつの道に開眼していた。渋りながらトドロキのもとで修行をするウォズ。そんなウォズを見るトドロキは、自分と亡き師匠との関係性を話した。死してなお禁呪を使って傍にいようとしてくれた師匠。今でもそんな師匠のことが忘れられない。〝ただ傍にいること〟、それが凄いことなんだと……。切々と説くトドロキの言葉に感銘を受けたウォズ。自分自身がソウゴの側にいることが祝福である。そう気づいたウォズの顔に迷いはない。そして彼も決戦の場へと駆けつけたのだ。
それを受けたソウゴはトリニティライドウォッチをとりだし、ジオウトリニティに変身! 響鬼、そしてジオウトリニティの必殺技が炸裂し、アナザー響鬼を完全撃破。爆炎の中からツトムが現れる。
戦いを終え、京介は響鬼ライドウォッチをソウゴに譲渡。自分は自分の道を進む。だからお前も王になれ、とソウゴの夢を後押しする。アナザー響鬼から解放されたツトムも京介に再度弟子入りを志願。離れた場所で一部始終を見ていたトドロキは胸にこみ上げるものがあり、自分も弟子を取ることを考えるのだった。
そして、ひとりクジゴジ堂に戻るソウゴ。そこでは皆が待ち構えており、クラッカーの音が鳴り響く。ソウゴの誕生日会の始まりである! そして、豪華な料理やケーキを前に、堂々たる祝辞を述べるウォズ。全員が笑顔のなか、最高の祝福の時間が過ぎていくのだった。
ピックアップ
ヒビキと桐矢京介
鬼として戦うヒビキに消防士だった亡き父の幻影を抱いた桐矢京介は、自分も鬼になることを決意する。人との接し方が不器用なため、誤解されるようなことも多かったが、京介の想いは真剣そのものであった。また、母子家庭で育った同級生の安達明日夢もヒビキに父親的な憧れを抱いており、明日夢も京介に押されるようにヒビキの弟子を目指すようになる。その競争心から2人に奇妙な友情が芽生え、やがてヒビキも根負けして京介と明日夢を弟子にした。
その後、明日夢は人を救う道は鬼としてだけではないとヒビキとの師弟関係を解消。そのことに京介は激怒して殴り合いにまで発展したが、1年後に明日夢の思いを知り和解した。
トドロキの師匠
トドロキの師匠は「仮面ライダー斬鬼」に変身するザンキ。仮面ライダー轟鬼と同じく弦の使い手だったが、戦いで負った右膝の傷が悪化し、鬼としては引退。トドロキのサポートに回ることとなった。だが、巨大魔化魍との戦いでトドロキが大怪我を負い、もう鬼として戦えない身体になったかもしれないという事態に陥ると、ザンキは鬼としての現場復帰を決めた。だが、ザンキの肉体もまた限界寸前であり、禁呪とされる返魂の術を使用。死してなお傍にいることでトドロキの心を支え、その想いに応える形でトドロキは鬼として復活を果たした。
京介変身体
京介が変身を果たした鬼の姿。ヒビキに弟子入りしてからわずか1年程の修行で、この姿を発現させた。元々京介は運動があまり得意ではなかったため、相当の努力をしたことをうかがわせる。
一人前の鬼として活動をしているようだが、襲名を受けていないため、正式な名前はない。現役の鬼の名を受け継ぐというのは考えにくいので、先代の響鬼=ヒビキは引退したのではないだろうか。