ツクヨミが自分らしくあるために
【EPISODE32の振り返り】2001: アンノウンなキオク
奪われたアギトの力。そしてウールがアナザーアギトの大軍団を結成し、ソウゴたちの前に立ちはだかる。
アナザーアギトに襲われるツクヨミを助けるため、仮面ライダーアギトこと津上翔一が現れた。ツクヨミの助力もあり、次々と現れるアナザーアギトを華麗な動きで捌き、1体、また1体と撃破していくアギト。そして最後の1体に狙いを定めるが……。そこに現れたオーラが時間を静止させ、ツクヨミの持つファイズフォンXを奪う。そして、その銃口をツクヨミの頭部に向けたため、アギトはアナザーアギトに手出しができず動きを止めた。そこにソウゴ、ゲイツ、ウォズも駆けつけるが、この状況では彼らもどうしようもない。
さらに続けて現れたウールがアナザーアギトウォッチを使い、アギトの持つ仮面ライダーの力を吸収。するとアナザーアギトウォッチがアギトライドウォッチに変化した。そして、変身が解除されてしまった翔一にアナザーアギトが攻撃を加えようとする。「危ない!」翔一の危機にツクヨミの叫びが轟くと同時に、周囲の時間が静止した。一体何が!? この場にいた全員が動揺する。そして時間は動き出す……。
翔一がアギトの攻撃を避け、誰が時間を止めたのかと焦るオーラはファイズフォンXを落とし、ツクヨミも窮地から脱出した。この状況にひとり落ち着いたたたずまいを見せるスウォルツが、ツクヨミを見つめて呟く。
「やはりお前は……」
混乱が続くなか、ウールはアナザーアギトにアギトライドウォッチを埋め込むと、そのアナザーアギトは仮面ライダーアギトに変貌。この結果に満足げな様子でウールは立ち去り、スウォルツもオーラとともに退散しようとする。そんなスウォルツをツクヨミは呼び止め、自分の何を知っているのか訪ねようとするが、スウォルツが何も答えることはなかった。
その後、ソウゴたちは翔一を連れてクジゴジ堂へ。翔一が順一郎の料理に舌鼓をうつなか、ツクヨミがスウォルツに何を聞こうとしていたのか、ソウゴたちはそれとなく詮索しようとする。だが、ツクヨミは放って置いてほしいと語気を荒げ、ひとり外へと出ていってしまう。
時間を止めたのは確かにツクヨミだった。もしかしたらそれはツクヨミの失われた過去と関係があるのだろうか。そんなことを話しながら心配顔になるソウゴを見た翔一も会話に参加してくる。彼女のことが心配なら、過去ではなく未来に目を向け、これからも一緒にいてあげるべきだ。そんな熱のこもった翔一の助言に、言葉を失うソウゴとゲイツ。その沈黙を破ったのは、翔一の携帯電話に掛かってきた尾室からの連絡だった。「アギトが街で暴れている!」。
それを受け、ソウゴとゲイツがアギトの力を取り戻すために街へ向かい、翔一はツクヨミの行方を探すことに。そして、ひとりクジゴジ堂に残ったウォズは、深刻な顔をしていた。
「まさかツクヨミ君があの……いや、そんなはずはない……」
街では複数のアナザーアギトが暴れており、襲われた人々が新たなアナザーアギトに変貌していく。駆けつけたソウゴがジオウⅡに、ゲイツがゲイツリバイブ 剛烈に変身して対処しようとするが、いくら倒しても新たなアナザーアギトが誕生してしまう。
そんな光景を笑いながら見るウールは、アギトを連れ、余裕の様子でその場をあとにする。それを追おうとするジオウⅡとゲイツリバイブ 剛烈だったが、アナザーアギト軍団に阻まれて身動きが取れない。そのとき、ジオウⅡがそれ程遠くない未来を予知する。高らかに笑うウールが、無数のアナザーアギトの大軍団を引き連れている光景を……。
一方、ツクヨミは川の側でひとりたたずんでいた。ソウゴが時間に介入することをあれほど責めていたのに、今、自分にも時間を操る力があることの矛盾……。そんな憂鬱げなツクヨミに翔一が声を掛け、彼女を「レストランAGITΩ」へと誘う。
真魚とともにツクヨミをもてなす翔一は、自分の本当の名前が「沢木哲也」であると語る。かつて自分も記憶をなくし、いつの間にか身についていたアギトの力に悩んだ。それは言うなれば今のツクヨミと同じ。だがある日、自分が自分らしくあるために一生懸命、普通に暮らすことを決めたことで世界は変わった。そんな翔一を支えた真魚も、翔一は記憶をなくしていたころも今もまったく変わっていないと、懐かしそうに語る。
翔一の身の上話を聞きながら、提供された料理を口に運ぶツクヨミの顔に笑顔が戻った。ツクヨミがツクヨミらしくあるから、周囲のみんなも彼女を仲間として迎えてくれたのではないか。その笑顔を早く仲間たちにも見せてほしいという翔一の言葉に応えるように、ツクヨミはレストランAGITΩをあとにする。
その後、ウールを追うソウゴとゲイツのもとにツクヨミが合流。ボロボロになりながらもソウゴは、自分が最高最善の王になるためにゲイツ、ウォズ、そしてツクヨミがどれほど大切な仲間なのかを語る。そんなソウゴに対し、ツクヨミも今、世界を良くしたいと思う自分がいるのであれば、過去は関係ない。自分は自分であると答える。改めてツクヨミの決意を聞き、笑顔を見せるソウゴ。
「おかえり。ツクヨミ」
そんなソウゴの言葉に、ツクヨミも満面の笑顔を返す。
そこにウォズが合流。スウォルツから聞き出した情報によると、ある場所でウールがアナザーアギトを大量につくり出しているという。また二重スパイかと訝しむゲイツだったが、その光景はすでにソウゴが見た未来。4人はこれから始まるであろう決戦の意思を固めた。
そして向かった先では、やはりウールとアギトが無数のアナザーアギトを従えていた。その膨大な数に圧倒される3人だったが、それぞれが変身して乱戦が繰り広げられる。アナザーアギトの増殖を止めるには、アギトの力を奪い返すしかない! そのきっかけをつくったのは、この場に突如乱入してきた1体のG3。それを纏っていたのは翔一だった。ツクヨミが時間を止めてG3をカバーし、ゲイツリバイブ 疾風とウォズ フューチャーリングシノビの高速コンビの連携がアナザーアギトを蹴散らす。そして、標的となるアギトへと続く道がつくられた。
ジオウⅡの必殺の一撃が炸裂し、アギトを撃破。出てきたアギトライドウォッチを翔一が受け取ると、仮面ライダーの力が復活し、翔一はアギトへと変身する。それに続き、ジオウⅡもジオウトリニティにフォームチェンジ。その存在を喧伝するウォズの堂々たる名乗りを見て面白がるアギトは、グランド、ストーム、フレイム3つのフォームの力を有したアギト トリニティフォームにフォームチェンジする。
並び立つ三位一体のライダー同士に興奮するウォズ。「六位一体」と祝おうとするウォズだったが、ソウゴはそれを中断させて戦闘が再開された。そんな2大ライダーの前に敵はなく、アナザーアギトは次々と撃破されていき、ウールも劣勢を見て撤退していった。
戦いを終え、翔一はぜひ王様になってほしいとアギトライドウォッチをソウゴに託す。そして、ツクヨミは翔一に対し、これからどんな過去を知ることになっても、それをすべて受け止めると誓う。その光景を離れた場所からウォズは、再び4人がひとつに纏まったと静かに喜ぶが、その胸の内にウォズだけが知っているある事実が秘められていることを、ほかの3人は知る由もなかった……。
ピックアップ
仮面ライダーアギト
津上翔一が変身する仮面ライダー。アギトの種子を持つ者が、人類から進化する形でアギトへと至る。徒手空拳で戦うグランドフォーム、両刃の薙刀、ストームハルバートを操るストームフォーム、剣型のフレイムセイバーを振るうフレイムフォームにフォームチェンジして戦う。また、その3つを融合したトリニティフォームにもフォームチェンジ可能。その後、さらに進化を遂げ、灼熱の肉体を持つバーニングフォーム、最強の姿、シャイニングフォームを得た。
アナザーアギト
スウォルツがアナザーアギトウォッチで生み出した怪人で、契約者は不明。襲った人物をアナザーアギトに変貌させる能力を持つ。仮面ライダーアギトのようなフォームチェンジはできないが、フレイムセイバーやストームハルバート、さらにはシャイニングカリバーに相当する武器を生み出すことができる。
なお、『仮面ライダーアギト』においてはアナザーアギトもアギトの一種であり、人によって外見の見え方が変わっていた。純粋な心でアギトを見ていたG3装着者の氷川誠は、アナザーアギトが普通のアギトと同じ姿に見えていたようだ。
津上翔一
本名は沢木哲也。自ら命を絶った姉・雪菜に宛てられた津上翔一からの封筒を頼りに客船「あかつき号」に乗船。そこでアギトの力に覚醒するが、海に投げ出されてしまいアギトに変身できること以外の記憶を失った。救助された後は封筒に書いてあった「津上翔一」を名乗るようになり、風谷家に引き取られる。
なお、雪菜が命を絶った理由は、自らがアギトに覚醒したことに耐えられなかったためであった。雪菜の恋人だった本物の津上翔一はそれを救うことができず、最初のアギトを滅した者として〝闇の力〟の下僕として選ばれる。そして沢木哲也を名乗り、アギトと闇の力が送り込む怪人・アンノウンとの戦いを見守り続けた。