2022年 4月 24日放送

第32話 「失った居場所、女王のプライド」

脚本: 木下半太

監督: 諸田敏

ウィークエンドに加入したさくらだったが、
ギフは未だ姿を現さず、世間的には平和が続いていた。

この日も普通に高校に通っていたさくら。
光と下校中に、アギレラを探している玉置に遭遇する。
ギフに拒絶されて以降、行方が分からなくなっている
彼女の状況を危惧する玉置だったが、
そこに現れるアギレラ。

喜ぶ玉置をよそに、その眼にはさくらしか映っていない様子で、
問答無用にクイーンビー・デッドマンとなって
襲いかかってくるアギレラ。

その様相は今までのアギレラとは異なり、
鬼気迫る異様な雰囲気を醸し出していてー。

一方、フェニックスで不穏な動きを見せる赤石の
行動に疑念を強める大二。
それを制し、動向を探り始める御子柴朱美だったが…。

見どころ

2話にわたってお送りさせていただきました『春の声優祭り』いかがだったでしょうか。
後輩たちの軋轢を憂いた木村昴さんが、スーパー声優の肩書きをかなぐり捨てて
「逃げちゃいけないと思った』その一心で起こした事件でした。
現実の世界でもスーパー声優である木村さん。
お忙しい中スケジュールを捻出いただきまして、ありがとうございました!

内容に関しては、ただのお祭りに止まることはしたくないと
常々監督や木下さんとは話して、一輝の過去に踏み込むことにしました。

18年前、ベイルが元太を乗っ取ってしあわせ湯を破壊しようとしたあの日、
一輝は願いを叶えるためにバイスの力を使い、そしてその記憶を失った。
高校時代、一輝は無意識のうちに、ジーコを怪我させてしまった一連の記憶を
忘れたいという願いをバイスに叶えてもらい、その通りに記憶は葬られた。
つまり、一輝とバイスの契約は
『バイスの力を使うと、その代償に記憶が失われる』
ということになります。
そして今、バイスの力を借りること=仮面ライダーに変身して戦うことですから、
戦えば戦うほど、一輝はその代償に、過去の記憶を失っているということになります。
過去の2件が直接的であるのに対して、仮面ライダーとしての代償は間接的ですが、
それは一輝の戦う理由に起因すると思われます。
バイスの力を借り、仮面ライダーとして戦うことが、
一輝の意識の有無や願望にはもはや左右されていないということが、
代償として失われる記憶にランダム性を生んでいるのではないかと思います。
また、彼の戦うモチベーションの根本は、
『家族を守れないやつが世界なんて守れない』ですから、
全ての戦いが、逆説的に『家族を守る』戦いなんですね。
だからこそ、家族写真から一輝が消えていく、
つまり家族との思い出が失われてしまう頻度、可能性が
高いということなのではないでしょうか。

そんな事実を知った一輝。
彼のお節介な性格上、おそらく戦いを止めるなんて選択肢はないのでしょうが、
それをバイスがどう受け止めていくのかも含めて、
このバディの今後の一挙手一投足を見守っていただければと思います。

さて、次回はさくらとアギレラに関する決着編になります。
『デッドマンズ』という居場所を失い、
『アギレラ』であることの意味を失った悪の女王に
最後の相手として選ばれた、さくらの決断と覚悟の話です。
リバイスの誇る両ヒロインの芝居合戦をお楽しみください!

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おまけ

木村昴さんや伊藤美来さん、堀川りょうさんが
アフレコに参加していた劇中のアニメ作品『カオスメサイア』ですが、
実際に脚本を作成し、それをもとに、アフレコ用の画コンテを起こしました。
画コンテはリバイスでは劇場版で怪人デザインも担当して下さっている
おなじみ武藤聖馬さん、脚本は西駿人さんにご執筆いただきました。
西さんは2021年度の東映芸術職採用者で、
『機界戦隊ゼンカイジャー ゼンカイ豆劇場」や10分でわかるリバイスなど担当
していただいてますが、他方、小説家としての姿もありまして、かつて第6回
ジャンプホラー小説大賞で金賞を受賞して「西馬舜人」の名義で『ヴァーチャル霊能者K』を発売中というマルチな才能の持ち主。
今後の活躍に期待のスーパールーキーでございます。

ここでは実際にご執筆いただいた劇中アニメ台本を、
ご本人の許可を得て、公開したいと思います。
わずか数分のシーンですが、細かく設定なども考えていただいて
これは掲載せねば勿体無い!!と思った次第であります笑


仮面ライダーリバイス 劇中アニメ台本『カオス・メサイア』

◆第三十話『失恋の紙飛行機! この想い、空に届け』

○ 対決場

      イケメンに化けて純粋な女の子を騙していた怪人と戦闘し、怒るヒィロ。
ヒィロ「ずっとあの子を騙してたのかよ……! 少しでも大事だとか、守りたいとか思った
    ことはなかったのかよ!」
怪 人「ハハハ、奴は利用していたにすぎん!」
ヒィロ「(歯痒そうに)……わかったよ。(ここから強く怒り)だったら、俺はもう容赦は
    しない! あの子の痛みのぶんも――」
      ここから必殺技。
ヒィロ「混沌の波よ来たれ、バゼルド・パラルガ!」
      怪人の悲鳴。
      しかし、一枚の写真が怪人からひらり。
      ゲストの子とのデートの写真。
ヒィロ「……本当に嘘だったのか? あの子との思い出も、全部…」


◆第三十一話『禁忌の代償! ヒーローは遅れて…』

○ 市街地

      市長にひとり、追い詰められたレミファ!
市 長「さあ、もう逃げ場はない。この向こうは、わたしの信者が囲っている」
レミファ「――っ! (心の声で)お願い……ヒィロ、早く来て……!」

○ 異次元空間のような場所(獄門宮の部屋)

      幻覚を見せられ、悶え苦しむヒィロ――。
ヒィロ「うわあああああ!」
      魔女狩りに遭い追われる者の姿――。
      肉体崩壊する者の姿――。
      住む村が戦火に落ちていく者の姿――。
      そして、一人の少年がそこに立っている――。
ヒィロ「なんだよこれ……オッサン!一体どういうことだよ!」
      ヒィロの前に水晶が現れ、市長に追い詰められるレミファの映像が!
市長の声「人間の最も愚かなところは、諦めが悪いことだ。どいつもこいつも簡単に奇跡が
     起きると信じていやがる。おめでたい連中だ」
ヒィロ「まさか…あの子供って――」
レミファの声「――おめでたいのはアンタよ」
     ヒィロ、水晶を鷲掴み、見る。
レミファの声「私たち人間が簡単にあきらめない理由……それはね! ――いつもヒーロー
    が遅れてやって来るからよ!」
ヒィロ「レミファ…!」
      ×   ×   ×
     15話フラッシュ。ヒィロが傷だらけのレミファを助けにきたときの悪態
レミファ「ヒーローならさ……もっと早く助けに来られないの?」
     ×   ×   ×
ヒィロ「(決意し)……オッサン。俺、気づいたよ。……あんたの言う罰は、必ず受けに戻
    る! でも、いまはレミファを助けなきゃいけないんだっ――!」
      ヒィロの強い覚悟により幻覚が消える!

○ 市街地

      攻撃をしたあとの市長、がんばったが傷だらけのレミファ。
市 長「……ふふふ。頼みの綱のヒーローはいつまで待っても来ないようだな……貴様の新
    しい命も、ここで終わりだ!(エネルギーを充填)」
レミファ「!(目をつぶる)」
市 長「――亡き者となれぇっ!(魔法撃!)」
      ――爆発!が、レミファは死なず。目を開けるとそこに……。
      立っているのは、魔法撃を真っ向から受けたヒィロ。
ヒィロ「……たとえ過ちを犯しても、俺はもう逃げない」
市 長「なんだと……?」
レミファ「(嬉しそうに)……遅いよ、ヒィロ!」
      市長、さらに攻撃を加算する。
      だがヒィロ、魔法で無効化し、雷の魔法で返す。
ヒィロ「困難が訪れても、俺は絶対に諦めない!」
      ヒィロの漆黒の魔法オーラは、桃色の風を帯びる。
ヒィロ「――誰かのヒーローでいるために!」
      そして、新しい魔法武器がヒィロの手に!
ヒィロ「うおおおおーっ!」
      強力な一撃が、市長に命中!
市 長「バカなぁ……!」
      新たなる力により、市長が一瞬で消滅する。
レミファ「ヒィロ……! やったの……!」
ヒィロ「ああ……。よく頑張ったな、レミファ」
レミファ「そうやって偉そうにするの、悪い癖。こっちはあんたより三百九十九歳も年上な
    のよ!(と、むくれるも、あとはくすくす笑い――)」
      ヒィロも一緒に笑う。



(文責・望月 卓)

第31話 あとがき

■桜満開!春の声優祭り!!PART2
第31話「幻想の導き、夢のあとさき」」ご覧くださいまして、誠にありがとうございます!いやぁ、前回に引き続きお祭り騒ぎでございました。我らが木村昴が八面六臂の大活躍!本編ではフェニックスに連行されてしまいましたが、現実では引き続き、現場を引っ張ってくれております。

それでは、31話に登場してくれた超人気レジェンド声優のお二人をメイキングショットと共にお届けします。


伊藤美来:伊藤美来

ラブコフの声で番組を大いに盛り上げてくださっている伊藤美来さんが、昴さんに続いて満を辞してご出演です!ライダー・戦隊を愛してやまない伊藤さんは、現場でも大興奮。本来の入り時間より早く入り、現場を見学してテンションMAXのご様子でした。監督は、『仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』、そしてラブコフ初登場回を担当してくださった伊藤さんと縁深い杉原監督!終始、笑いの絶えない現場でございました!


堀川りょう:堀川りょう

そして、スーパーレジェンドである堀川りょうさんにもご本人役でご出演!望月Pのプロデューサーデビュー作である『非公認戦隊アキバレンジャー シーズン痛』ではツー将軍としてご出演していただいておりました。当時、助監督であった杉原監督が演出を担当した今回、監督と望月Pと久々の再会を果たしました!撮影所に入られた際、堀川さんが「白塗りでもなんでもやりますよ」とニコニコしながら仰っていたのが強烈に印象に残っております。(笑)


プロデューサー:井上千尋(写真左/テレビ朝日チーフプロデューサー)

劇中のアニメ「カオスメサイア」のプロデューサーとして出演したのは、ナント本物のリバイスのプロデューサーであるテレビ朝日の井上Pです!台詞ありでの出演は初めてとのことでしたが、杉原監督も納得の演技。流石です!プロデューサーが役を演じ、俳優・松本寛也がメイキングを回すという、奇妙奇天烈な現場はまさにカオス。

そんなメイキングがまたまた、TTFCでご覧いただけます!『スーパー親善大使・松本寛也の今宵は気まぐれ運任せ』にて、「伊藤美来・堀川りょう回」「木村昴回」の豪華二本立て!

4月17日AM10時より東映特撮ファンクラブTTFCにて配信!!!
https://tokusatsu-fc.jp
皆さま、どうぞお見逃しなく!!

(文責・百瀬 龍介)



■仮面ライダーベイル第2話 絶賛配信中!
TTFCにて配信のスピンオフ作品『リバイスレガシー 仮面ライダーベイル』。先週第2話が配信開始されました! 第2話では今の五十嵐家に通じるエピソードもちらほら。

「人間、どんなことがあっても熱いお風呂につかれば復活できるのよ」
両親を亡くし、ひとりでしあわせ湯を守ってきた幸実のこの格言。聞き覚えのある方も多かったと思います。リバイスの第4話で兄弟が披露していたあの言葉です。

「BY母ちゃん」
他にも、リバイスではお馴染みの五十嵐家特製カレーも登場。

餃子のトッピングに加え、“愛情分”のスパイスが乗った「ちょっと辛め」のカレーの味は、長女、さくらに受け継がれています。

「脳がシビれるぜえ……!」
悪魔の舌も痺れさせる辛さは、両親から受け継いだ分だけ愛情が増したからかもしれません。
そして、後に一輝に受け継がれることとなる幸実の「世界一のお節介」により、元太こと純平が家族の温もりを感じられたのもつかの間。元太のみならず幸実もともに、組織にとらわれてしまいます。

「お前の居場所はここだ」
東山により非情に向けられた言葉のもと、元太は再び復讐のみに生きる悪魔ハンターへと戻されてしまうのか。そして、捕らわれた幸実の運命は――。第3話は来週4月24日午前10時配信開始です!

東山の野望は、真澄の迷いは、そして、部隊長が元太たちに向けた意味深なまなざしの意味は……。二人を取り巻く人物たちの動きにも注目です! 今の五十嵐家に思いを馳せながら、ぜひ今後もお楽しみください!

(文責・近松 知佳)