2020.05.03 ON AIR
コレが滅の生きる道
脚本: 筧 昌也
監督: 中澤祥次郎
第34話
或人は野菜工場を訪れていた。ヒューマギアの稼働が停止されたことで、すべての野菜をAI制御して育てていた野菜工場は混乱に陥っていた。その情報を聞いた或人が農業管理ヒューマギアのミドリを復元して工場に届けたのだ。ミドリが戻ってくれたことに大喜びの工場長だったが、そんな野菜工場をなぜか滅が襲撃して―――。
第33話 ハイライト
実は次回のエピソードには個人的に気合いが入っていました。 “AI農業”とコラボレーションするつもりで臨んだからです。或人がイメージするヒューマギアは人々の生活に寄り添うもの。その発想にヒントを求めると、人間の生活の基本である衣・食・住にたどり着きます。無理やりですが「モデル編」を衣、大工ヒューマギアも登場した「住宅販売編」を住とすると、あとは食を描けないものかという思いがずっとありました。もちろん料理をする一貫ニギローのようなヒューマギアは描いてきたわけですが、食を作り出す職業、さらにAIと関係した農業を探して「植物工場」にたどり着きました。
植物工場は文字通り、植物を栽培する工場のことです。エネルギーを省力化しながら環境保全を目的としたうえで、高品質の野菜を一年中いつでも栽培・収穫できるのが植物工場です。今回は、企画の段階で千葉大学・柏の葉キャンパス内にある植物工場研究会(https://npoplantfactory.org/)を訪れ、事前に取材させていただき、さらには本編の撮影も行わせていただけたのです。
千葉大学・柏の葉キャンパス内にある植物工場では様々な企業と協力して研究が進められているようですが、完全に人工光だけで栽培を行う省エネドームや多段式の栽培工場などは、正に最先端の野菜栽培技術を感じさせていただけるものでした。次回のエピソード内でも紹介させていただいているので、ぜひご注目ください。(※一部、別の場所も撮影させていただいております)植物工場は基本的にはコンピュータ制御で工場内の室温、風、光合成などの管理を行っているということで、これがもしAIと融合すればさらに生産性が増すはずです。そう言った意味では、次回は未来の農業の姿を垣間見えるかもしれません。
この「食」に関する人間生活を支えるヒューマギアの物語は、真逆とも言える“人類滅亡”を謳う滅の物語と関わりを持っていきます。滅の今まで描かれなかった一面が、どのように農業管理ヒューマギアと絡んでいくのか、ぜひお楽しみに!
(文責・大森 敬仁)
第33話プロダクションノート
■ゲスト紹介
ラブチャン:佳久創
全身真っ赤なウェアにヘアバンド。爽やかな笑顔ととにかく熱(苦し)い仕草が特徴的な“熱すぎる”テニスコーチヒューマギア・ラブチャンを演じたのは佳久創さん。惚れ惚れしてしまう鍛え抜かれた体格は、実はテニスではなくラグビーで培われたもの。しかも元プロ選手として活躍していた本物のアスリートなのです。テニスはほぼ経験がなかったにも関わらず、持ち前の運動神経で見事にテニスコーチヒューマギアを演じてくださいました。
最初に撮影したテニスのシーンは、圭太からコーチ募集のポスターを受け取る場面。この前に或人にプロテニスプレーヤーになると言って意気揚々とサーブ練習を始めようとする動きがあるのですが、放送をバッチリご覧いただいた方は気づいたはず。佳久さん、本番テイクで思わぬ奇跡を起こしました。
これには田崎監督も立ち上がって興奮気味にモニターをチェックし、会心のオッケーを叫んでいました。どんな奇跡だったのか、見逃してしまった方はぜひもう一度33話をおかわりしてみてください。
もうひとつ、現場で話題をさらったのはピシッと背筋の伸びた“ヒューマギア走り”。元アスリートの佳久さんだからこその演技で、またひとり、魅力的なヒューマギアが生まれました。熱演ありがとうございました!
梅ヶ丘圭太:角井楓真
悩めるテニス少年・圭太を演じたのは角井楓真さん。角井さんは圭太と同じ中学三年生。撮影は3月だったこともあり、ちょうどこの時期に中学の卒業式を迎えました。おめでとうございます!
《夢》はゼロワンのテーマのひとつでありますが、ある日、シリーズ構成スタッフの間で疑問が浮かびました。「夢を持つのは素晴らしいことだけれども、夢がない人にとって“夢を持とう”というメッセージはプレッシャーになることもあるのではないか……」そうして生まれたのが、圭太というキャラクター。角井さんは「ラブチャンのことは好きだけど、彼の大きな期待に答えることはできない」という等身大の葛藤を演じてくださいました。
いくら熱く叱咤激励されながらでも、これはちょっと逃げたくなりますね……。このシーンで用意したテニスボールは300個。角井さんは小学生の時に取り組んでいたテニス経験を生かして挑んでくれました。唯阿が一大決心をするきっかけともなった圭太を瑞々しく演じてくださり、ありがとうございました!